バイデン「日鉄のUSスチール買収阻止」その後は? 最終的に判断を下すのはどこになるのか

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この法律はまた、IEEPAを使ってアメリカ人の海外投資と外国人の対米投資の両方を阻止することを認めている。トランプ氏は最初の任期中に、IEEPAを使ってアメリカの対中投資や中国の対米投資をすべて阻止することを検討した。しかし、結局は他の法的正当化手段を用いることになった。

私が知る限り、IEEPAを使って外国からの投資を阻止した前例は1つしかなく、そのための法的教訓から、日鉄を阻止するためにIEEPAを使おうとした場合の結果は不明である。

裁判所の判断に委ねられる可能性

トランプ氏はIEEPAを発動し、中国のSNSであるTikTokのアメリカでの運営を禁止した。しかし、この法律は情報を提供する企業を特に除外しているため、裁判所はトランプ氏に不利な判決を下した。この適用除外は日鉄には適用されない。

はたして日鉄とUSスチールは、トランプ大統領を阻止するための差し止め命令を得ることができるだろうか。

仮にトランプ大統領がIEEPAを使って合併や合併後の両社間の金融取引を阻止した場合、日鉄とUSスチールはこの裁判が決着するまで手続きを進めることができない。

そうした事態を避けるため、両社はほぼ間違いなく、裁判が進行している間はトランプ氏の命令が執行されないよう、裁判所の差し止め命令を得ようとするだろう。このような状況に対する明確な判例がないため、裁判官がそのような差し止め命令を認めるかどうかは不明である。

リチャード・カッツ 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Richard Katz

カーネギーカウンシルのシニアフェロー。フォーリン・アフェアーズ、フィナンシャル・タイムズなどにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。著書に『The Contest for Japan's Economic Future: Entrepreneurs vs. Corporate Giants 』(日本語翻訳版発売予定)

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