窪田:中国の場合はゲームの制限だけでなく、学習塾に規制をかけて、詰め込み型教育をやめようと大きく舵を切っています。子どもの考える力を強化していこうとする教育改革です。同じような動きはイギリスや香港でもあります。
しかも、香港では学習塾に規制をかけても、学力は下がらなかったんです。外遊びもそうですが、多様な経験をしているほうがむしろ有利な問題が出題されているといいます。
為末:それは面白い結果ですね。基本となる学力は、一定のパターンを覚える詰め込み型教育が効くと思うのですが、その上の段階ではクリエイティブな発想を伸ばしていく教育のほうがいいですよね。
日本はどちらかというと、抜きんでた子どもは伸びづらいけれど、取りこぼされてしまう子どもはすくい上げるような、中央値に押し込める力が強い気がします。
窪田:学力で平均をとりやすいと。
為末:これはスポーツも同じで、以前、陸上の1万メートルの世界記録を調べてみたら、1番から200番までに日本人は1人もいなかったのですが、200番から500番までに最も多く入っていたのは日本人でした。
窪田:そう考えると、万人向けの教育はそろそろ変えたほうがいいかもしれません。いつまでも詰め込み型教育では、新しい発想を生み出すようなイノベーション人材は育ちにくいと思います。
10代でピークを迎える、スポーツの「早期教育」
為末:興味深いのが、スポーツ界はむしろ詰め込み型のほうに傾いてきているんですよ。
窪田:え? それは最近ですか?