「いつでも、なんでも診る」医師が日本にいない訳 「かかりつけ医」がいるのに"たらい回し"の例も
日本には本当の「かかりつけ医」がいない。
そう実感させたのは、2020年に世界中を席捲した新型コロナウイルスです。「かかりつけ医だと思っていたのに、診療を拒否された」というケースが全国で相次ぎました。
日本には欧米のような「家庭医制度」がありません。患者さんの意志で、複数のクリニックに行くことも自由です。
そのため、医師にとっても「治療の途中なのに患者さんが来なくなってしまう」ことが当たり前のようにあり、「来てくれた患者さんを責任を持って診る」というマインドが稀薄になっているのだと思われます。
医師の能力の問題ではなく、日本の医療のあり方が「医師としての根本的な責任感」のようなものを削いでいるような気がします。
かつて「町医者」と呼ばれていた開業医は、住民の健康相談から急患まで、すべての病気を診療することが当たり前でした。けれども、そんな「町医者」の姿が、日本から見えなくなった気がするのです。
本来の医師は、専門外のことも含めて総合的に病気を診る能力があり、また、診ようとする姿勢も持っているべきです。
「総合診療かかりつけ医」第1号として
このままではいけません。
これからの日本では、高齢者がどんどん増えるのです。高齢者には車を運転しない人が多く、歩行が困難な人も少なくありません。「耳鼻科で扱う病気ではないから、内科へ行ってください」と言われても、そう簡単には行けません。
認知機能が低下していて、思うように行動ができない人もたくさんいます。近くに頼れる家族や親戚がいない人も多いのです。にもかかわらず地域のクリニックが今のような臓器別・専門別のままでは、冒頭の男性のようなケースが日本中に増えるだけです。
この問題を解決するために必要なのは、初期診療で対応する「いつでも、なんでも、だれでも まず診る 総合診療かかりつけ医」です。もちろん「初期診療」だけ対応するわけでなく、1人の患者さんにずっと寄りそって伴走するかかりつけ医です。
この「総合診療かかりつけ医」は私が作った言葉です。
総合診療専門医と名前は似ていますが、違うものです。
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