由紀さんは、息子さんと向き合うなかで大きな気づきがあったと言います。
「上の子が中学校に入った時、小学校との違いに驚きました。中学校では始業式の翌日からいきなり6時間授業。部活の時間も長くて課題の提出も多く、夜中までかかるようなことをやらなければなりません。マイペースな息子のことを考えると、中学生になった時についていけるか不安でたまらなくなりました。だから私は、当時小学4年生の息子を急き立ててしまったんです。その不安は、いろいろなことをあきらめてしまっていた自分が、息子だけはなんとかしなくちゃと焦っていたからなんですね。今ならそれがよくわかります」
「息子は自分が納得いかないことはやらないという意思を持っていることにも気づきました。誰かに決められたことをやらされる息子は不満そうです。でも、自分が納得したことはやり遂げる。私は息子のそんな性格を見抜けませんでした。今は息子にやりたいことがあれば、全力でサポートしてやろうと思います」
不登校は親の課題に気づくきっかけ
親は自分の人生でできなかったことを子どもにさせようと期待したり、自分が失敗したことを子どもにさせないでおこうとします。無意識ですが、それが子どもを所有物のように扱い、親の思う道へとコントロールしてしまうのです。
先回りをして降りかかる火の粉を払い、あれこれと干渉することは、子どもの考える力と自立を妨げてしまいます。私がまさにそうだったのですが、そのことに気づかせてくれたのが娘の不登校でした。
困難な状況にも乗り越えられる大人に育てたければ、親は子どもから「失敗から学ぶ機会」を奪わないことです。
由紀さんは1つひとつ不安と向き合い、葛藤を乗り越えてきたからこそ、息子さんの不安を受け止め、苦悩する息子さんをサポートできるようになったのです。
子どもの人生の主人公は子どもです。親は主人公を支える名脇役になることです。それが子どもの「自分の好き」に気づき、才能を伸ばす子育てだと私は思います。
由紀さんに「次に叶えたい夢はなんですか?」と聞いたところ、
「実は私、魚釣りが好きなんです。だからふらっと釣りに行ける場所に住みたいですね。自分はリラックスするひとりの時間が大切だと思ったんです。理想の家は、平屋でリビングがど真ん中にあって(笑)、子どもたちも私たち夫婦もそれぞれが好きなことをやれる、そんな家です。海に近い場所に家を買うこと。それが今の私の夢です」
不登校回復の苦しい道のりで自分と向き合い、忘れていた夢を思い出し、行動に移された由紀さん。次の夢もきっと叶えられることでしょう。
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