由紀さんが私と出会ったのはそんな頃でした。
「他のお母さんたちの悩みを聞いていると、自分の感情を見つめることができるんです。自分がどんな時に苦しくなるのか、子どものどんな発言に心が揺さぶられるのか。それまで自分の気持ちを掘り下げたことがなかったので衝撃でした。そこから思うことを紙に書いてみたり、昔の記憶をたどってみたんです」
「浮き彫りになったのは私の家族との関係です。私の兄は努力せずに何でもできる人なんです。母はそんな兄を評価していたし、私より好きなんだろうなと感じていました。だから兄のような人を見ると心がざわつくんです。要領よく生きている人が嫌いというか」
「自分の子育てにもそれが影響していたんですね。上の子が『私はいつも弟よりがまんしている』と言うと、『そんなわけないでしょ、きょうだいは上の子のほうが絶対有利なんだから』と思っていました」
自分の中のモヤモヤに向き合うと…
「大人になってからのことも思い出しました。私は結婚したら在宅で仕事をしたかったんです。子どもたちに″おかえり”と言ってあげたかったので。そのために資格も取りました。でも、子どもが生まれたり母が倒れたりして、自分の夢をことごとくあきらめさせる現実が起こっているようで苦しかったです」
由紀さんはそんな自分にていねいに向き合っていきます。
「何に対してこんなにモヤモヤするのかを書き続けました。感情が乱れた時は殴り書きして、破って捨てて。苦しい感情や小さな頃に自分がしてほしかったことを深掘りしていったんです」
「結局、私は母に認めてほしかったんですね。兄ばかり見ないで私を見てって。そんな自分を認めたら少しずつラクになっていきました」
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