「是枝氏とCHANELのタッグ」示した映画界の課題 早大でワークショップ開催、観客達の高い熱量
会場となった早稲田大学のホールは、若手俳優、監督のほか、映画業界を目指す学生などで満席となった。客席の一部には現在のエンターテインメントシーンの第一線で活躍する俳優たちの姿も見られた。
その初日のトークセッションは、是枝監督と西川美和監督によるティルダ・スウィントンへのインタビューからスタート。彼女の映画人としての活動や、ペドロ・アルモドバル、ジム・ジャームッシュ、デレク・ジャーマン、コーエン兄弟、ポン・ジュノなど世界の巨匠と呼ばれる監督たちとの撮影現場エピソードや、そこからの学びなどが語られた。
世界的女優が日本の映画界に思う課題
印象的だったのは、国境を超えて広く世界で活動するティルダの外へ向ける意識や、モチベーションについて是枝監督が聞くと、「意識的ではなく縁」と答えていたことだ。
そもそも彼女が是枝監督、西川監督と出会ったのも国際映画祭だが、ティルダにとってそこは、映画を通してネットワークを広げて、一緒に組みたい仲間との関係性を築くパーティーの場であるとのこと。自然な形でお互いが引き合ったり、不思議な縁があったりする。そこから国境を超えたコラボが生まれてきたという。
そんなティルダが今回のイベントを通して訴えたのは、フェローシップの構築だ。これまでティルダ自身は、国際映画祭の場で仲間に恵まれ、一緒に映画を作る家族を奇跡的に見つけてきた。
彼女が日本の課題として挙げたのは、海外のフィルムメーカーとのネットワーク構築など、世界へ向けた間口を広げていくことだ。
たしかに、これまでの日本映画業界は、作品や権利のセールスで国際映画祭に出ていても、企画ピッチングや、映画人のネットワーキングの面では、インディペンデント系プロデューサーなどの参加に限られていた。
ここ最近では、東映やアスミック・エースなどの大手も外に動き出してはいるが、日本映画界としての大きな動きにはなっていない。個人としても、企業、業界としても、世界とのフェローシップの構築は、喫緊の最重要課題になるだろう。
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