「是枝氏とCHANELのタッグ」示した映画界の課題 早大でワークショップ開催、観客達の高い熱量
繰り返しになるが、今回のワークショップが唱えていたのは、横のつながりを広げるフェローシップだ。その輪には、個人だけでなく、映画業界が中心的な存在として加わり、未来へ向けたアクションを起こしていくことが期待される。
映画業界が本気になれば、現在のトップシーンの第1人者をフル稼働させて、今回のワークショップのような若手育成や産業発展のためのプログラムを定期的に組んでいくことも夢ではないだろう。そこからの発信は、世間一般へのアピールにもなり、日本映画の市場を拡張する新しい未来につながっていくかもしれない。
韓国ではすでに定着している
韓国の国際映画祭でのティーチインやマスタークラスでは、常にこうした熱量の高いセッションが生まれている。その背景には、映画をはじめとするエンターテインメント民度の高い韓国人の国民性とともに、スターが積極的にイベントに参加し、観客と触れ合いながらコミュニケーションを深めて対話するイベント文化が定着していることがあるだろう。
今回のCHANELの参画により、日本でもその場があれば、モチベーションの高い参加者が集まり、そこには熱量が生まれることが示された。そして、それが定期的に繰り返し行われていくことで、映画文化がより醸成し、映画民度は高まっていく。
前出の寺田さんは、志の高い仲間たちと出会えたことがこの2日間のいちばん大きな収穫だと話していた。場は人を集め、そこからつながりができて、大きくなっていく。それが文化と産業の発展につながり、明るい未来を作り出す。
フェローシップを掲げたティルダは「こういう共同体験から、コミュニティ的な感覚を日本で育てていくことが大事」とメッセージを送り、最後に是枝監督は「次回に向けて準備をしていきたい」と継続を言及していた。
世界で芸術文化の共生に取り組むCHANELが起こした風を受けた日本の映画業界が、それを独自のアクションにつなげていくことが期待される。
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