話を聞きながら、アドベンチャーレースは本当によくできた仕組みだと痛感する。性別も性格も体力も得手不得手も異なるメンバーたちを、何が起こるかわからないレース会場に送り出す。極限状態の中、アクシデントにどう対処するか、意見をどうまとめるか、どんな決断をするか、などが試される。
こう言っては何だが、考案した人はなんて意地悪なのだろう! 参加する人も参加する人で、やっぱり「全員クレイジー」だ。
若い人には上に行ってもらいたい
57歳で現役バリバリの田中さんだが、引退することをひとつの目標にしている。後進を育て、自分が抜けたほうが強いチームになると判断したら、身を引くつもりだという。もっとも、当面はそうなりそうにない。
「若くて体力はあるけど、現場で生かせていない、無駄な力を使いすぎている、というトレーニング生が多いんです。僕は経験でごまかせている部分が大きいから、まだ抜けられない。若い人には、早くどんどん上に行ってもらいたいですね。そうしたら、僕はマスターズチームを作って、新たなチャレンジをするのも面白いかな」
取材を終え、そういえば「アドベンチャー」とはどんな意味なのだろう、と辞書で調べてみた。「冒険」「探検」のほか、「わくわくする体験」「困難な状況に立ち向かいながら成長するストーリー」「人生の道のり」などと書かれている。田中さんが話してくれた内容と見事に一致した。
これからもレースを通じて、またレーサーとしての生き方を通じて、我々にどんな冒険譚を届けてくれるのか、楽しみでならない。
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