57歳「鬼軍曹」が挑む"世界一過酷なレース"の中身 猛獣に狙われ、不眠不休の極限状態…そこで真理を見つけた

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話を聞きながら、アドベンチャーレースは本当によくできた仕組みだと痛感する。性別も性格も体力も得手不得手も異なるメンバーたちを、何が起こるかわからないレース会場に送り出す。極限状態の中、アクシデントにどう対処するか、意見をどうまとめるか、どんな決断をするか、などが試される。

こう言っては何だが、考案した人はなんて意地悪なのだろう! 参加する人も参加する人で、やっぱり「全員クレイジー」だ。

田中正人さん
拠点を置く、群馬県のみなかみにて(筆者撮影)

若い人には上に行ってもらいたい

57歳で現役バリバリの田中さんだが、引退することをひとつの目標にしている。後進を育て、自分が抜けたほうが強いチームになると判断したら、身を引くつもりだという。もっとも、当面はそうなりそうにない。

「若くて体力はあるけど、現場で生かせていない、無駄な力を使いすぎている、というトレーニング生が多いんです。僕は経験でごまかせている部分が大きいから、まだ抜けられない。若い人には、早くどんどん上に行ってもらいたいですね。そうしたら、僕はマスターズチームを作って、新たなチャレンジをするのも面白いかな」

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取材を終え、そういえば「アドベンチャー」とはどんな意味なのだろう、と辞書で調べてみた。「冒険」「探検」のほか、「わくわくする体験」「困難な状況に立ち向かいながら成長するストーリー」「人生の道のり」などと書かれている。田中さんが話してくれた内容と見事に一致した。

これからもレースを通じて、またレーサーとしての生き方を通じて、我々にどんな冒険譚を届けてくれるのか、楽しみでならない。

【写真を見る】危険すぎる…! 道なき道をいき、極限状態まで追い込まれるアドベンチャーレースの様子(14枚)
肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト

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こえぬま かずゆき / Kazuyuki Koenuma

1980年東京都生まれ。ルポルタージュや報道系の記事を主に手掛ける。著書に『究極の愛について語るときに僕たちの語ること』(青月社)、『フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。』(実務教育出版)。東京・新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」のオーナーでもある。ライフワークは愛の研究。

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