「高気密・高断熱住宅」にありがちな5つの誤解 電気代削減につながる「3つの工夫」とは?

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勘違いポイント③断熱材だけじゃない!窓の性能も重要

高気密・高断熱住宅で大きな意味を持つ断熱材。ただし「壁」の断熱材にこだわっても、窓の断熱性能が低ければ、そこから熱が逃げてしまう。住宅において最も熱の出入りが多い「窓」こそ、断熱性能に力を入れるべき場所と言える理由だ。

現在主流となっている2枚のガラスの間に空気層を設けたペアガラスから3枚のガラスを使ったトリプルガラスに変えることで窓の性能をアップできる。

またガラスだけでなく、窓枠の素材も断熱性に影響する。熱の行き来がしやすいアルミから樹脂、木製など他素材に変更すれば、窓の性能向上を図ることが可能となる。

勘違いポイント④断熱材の優劣、見極め方に正解はないと心得る

さまざまな種類がある断熱材。重要なのは、それぞれの断熱材の特徴を理解し、自分の家に合ったものを選ぶことだ。

例えば使用頻度の高さから繊維状の「グラスウール」と、壁に直接吹き付けて膨らむ「発泡ウレタン」を比較検討するケースは多い。コストの面では「グラスウール」が比較的リーズナブルだが、その多くは袋に入った断熱材を敷き詰めていく方法のため、しっかりと施工しないと隙間ができてしまう。

一方、壁に吹き付けるため断熱性、気密性に優れた「発泡ウレタン」だが、うまく施工しなければ膨らみきらないなどのトラブルにつながることもある。

不具合、施工不良があれば当然、性能も落ちてしまう。断熱材ごとに異なる施工上の注意点等を含めたさまざまな要素を総合的に判断することをおすすめする。

勘違いポイント⑤防湿対策も忘れずにチェックすべし

高気密・高断熱住宅という視点がなかった従来の日本家屋はその分、隙間から湿気が自然と逃げるつくりとなっていた。

一方、現代の高気密・高断熱住宅は、空気が動きにくく、湿気がこもりやすくなることで壁の中に結露が発生するトラブルを起こしやすい。断熱性が高くなるほど壁を境に室内外の温度差が大きくなるためだ。

このような「壁内結露」は、カビや木材の腐朽、鉄部の錆などの原因となるため、防湿対策が不可欠となる。湿気が壁内に入らないよう、防湿フィルムを貼る対策が必要となる。断熱や気密だけでなく、防湿対策も忘れずに行うよう留意したい。

高気密・高断熱住宅を家づくりの選択肢に

光熱費を含めた暮らしにまつわるあらゆる「モノ」が高騰する中、「高気密・高断熱住宅」は家計への負担を軽減し、快適な暮らしを実現する選択肢の1つと言える。ただし、高気密・高断熱住宅のメリットを最大限に活かすには、適切な設計・施工が不可欠だ。

初期費用は高くなる傾向があるものの、長期的な視点に立てば、光熱費の削減、健康面へのプラス効果、資産価値の向上など、経済的なメリットは大きいと言えるだろう。快適な暮らしと家計の節約、地球環境への貢献をも両立できる高気密・高断熱住宅を、これからの家づくりの選択肢に加えてみてはどうだろうか。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

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