「このついでに女房たちの容貌についてお話ししてお聞かせしたら、それはおしゃべりが過ぎますでしょうか」
(このついでに、人の容貌を語りきこえさせば、物言ひさがなくやはんべるべき)
「パート2」はそんな呼びかけから始まり、式部がおもむろに女房についてあれこれと語り始める。
「宰相の君」については「ふっくらとした整った容姿で賢そうな雰囲気を漂わせている」(ふくらかに、いとやうだいこまめかしう、かどかどしき容貌したる人)とし、一方の「小少将の君」は上品で優雅な様子で「春二月の垂れ柳のような風情」(二月ばかりのしだり柳のさましたり)と、式部らしい言い回しで描写している。
こぎれいですらりとした「宮の内侍」については、飾らない性格で気立てが良かったらしい。「お手本にしたい人柄だ」(人の例にしつべき人がらなり)とまで言っている。
式部は、それぞれの性格について「ひどくまずい人はいない」(いと悪ろきもなし)とする一方で、「才覚も教養も風情も仕事の能力もすべて兼ねそろえている人はいない」(すぐれてをかしう、心おもく、かどゆゑも、よしも、後ろやすさも、みな具することはかたし)ともしている。
清少納言の悪口も記されていた
そんなふうに、あれこれと評している自身の非礼さを「あるまじき批評をしてしまいましたね」(さもけしからずもはべることどもかな)と自らツッコミを入れながらも、筆は止まらないようだ。有名な清少納言の悪口もこのパートで書かれたものである。
そして式部自身が一度は人間関係がうまくいかず、宮仕えを断念したものの、「キャラ変」をして宮中に迎え入れられた経験から、理想の女房像についても言及している。
「よい雰囲気をまとい、総じて女性は穏やかで、少し心の持ちように余裕を持ち、落ち着いているのを基本としてこそ、品格も風情もその人の魅力となり、安心して見ていられるものです」
(さまよう、すべて人はおいらかに、すこし心おきてのどかに、おちゐぬるをもととしてこそ、ゆゑもよしも、をかしく心やすけれ)
このパート2は、ほかの箇所と比べて、明らかに様子が違う。ほかで書いたものが紛れ込んだのではないかとさえ言われている。
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