ただ、経営者としては「超短期で毎日の動きを厳しく見ています」(福永さん)。ブランドの支持をはかるエビデンスの1つとして、日々の売り上げを注視している。それも、規模の成長拡大を目指すというより、“支持を得ているかどうか”にこだわっているからだ。
2038年には顧客を1億人に
そのゴールはどこに向かっているのか。「2038年には1億人のお客様と、昨年、決めたのです」という言葉が飛び出した。積み上げ的に試算したものではない。
福永さんが65歳を迎える2038年に、日本の人口はおよそ1億人と推定されており、「それくらいの規模感で、国内外のお客様がつくことを目標と定めました」(福永さん)。しかもこれは根拠なき話ではない。過去の売り上げと顧客分析の趨勢をもとに、未来を予測してみると、達成可能域に入っている数値だという。
また、お客の支持を大事にしているが、ものを作るためにマーケティングはやらないと決めている。確実に売れるものを作ろうとすると、現状の売れ筋の延長線上に浮かぶもの作りになってしまう。開発して製品を出す頃には、市場はもうその製品を欲しがっていないからと福永さんはとらえている。
だから、自ら感度のいいアンテナを立て、自分たちが本当に欲しいと思っているもので、お客も欲しいと感じているものを、半歩先くらいのタイミングで世に送り出していく――そのバランス感を大事にしているという。
2019年、ブランド名を「shiro」から「SHIRO」に変えて炎上したことがあった。「お客さまと自分たちのかかわりという意味で、大きな勉強になりました」と福永さんは振り返る。
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