「日本型軽減税率制度」は、本当に使えるのか

財務省が示した「還付型」の問題点とは?

ただ、「還付型」については、現時点で十分な情報がないため、あらぬ誤解も広まっている。「還付型」は、「消費者が痛税感の緩和を実感できる」仕組みではないとの批判があるが、前述の欧州諸国の還付手続きをみれば、若干タイムラグはあるが負担軽減を実感できる。

マイナンバーカードは本当に問題だらけなのか 

「還付型」にまつわる批判の最たるものは、マイナンバーカードに関するものである。確かに、セキュリティー問題にまつわる批判は一理あり、これは消費税の軽減にマイナンバーカードを使うか否かを問わず、解決しなければならない。

 他にも、飲食料品を購入するたびにマイナンバーカードを持っていくのは面倒とか、マイナンバーカードを通じて自分がいつ何を買ったかがすべて国に把握されてしまうとか、個人の購入情報がマイナンバーカードに記録されるからその情報を盗まれては大変とか、といった批判や懸念がある。

マイナンバーカードをまだ手にしていないのだから、こうした懸念は無理もない。ただ、これらは、ほぼあらぬ誤解の部類といえそうだ。

そもそも、マイナンバーカードのICチップには、税や年金の情報などプライバシー性の高い情報は記録されない設計である。そして、個人の購入記録も保存されない。

ものを買う時にクレジットカードやポイントカードを持っていくのをとてつもなく面倒とは、普通思わない。消費税の負担軽減手続きには、誰がいつ何を買ったかは、(欧州諸国での還付手続きを想起すればわかるように)店舗で軽減対象か否かの判定をすればよいだけで、税務当局は誰が対象品目を総額で「いくら」買ったかだけ知ればよい。

対象品目の購入個数や単価、そして対象外品目の情報は、税務当局にとって不要である。システム上それを税務当局に伝達しない仕組みにすればよいだけの話である。今のところ、店舗から税務当局への情報送信には暗号化されると報じられている。

さらに、今の案では、マイナンバーカードを店舗でカードリーダーにかざす際、本人のマイナンバー(個人番号)、氏名、住所、生年月日、性別の情報は読み取ることができず、利用者証明用電子証明書と呼ばれる「符号」(IDのようなもの)のみ読み取って税務当局でのみ個人を特定できるようにして、軽減手続きに用いると報じられている。この「符号」は本人ですら知らない文字列である。

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