「日本型軽減税率制度」は、本当に使えるのか 財務省が示した「還付型」の問題点とは?

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実は、現行の消費税でも、「消費者」の負担を減免する仕組みがある。外国人旅行者に対する消費税の免税がその一例である。

これは、日本の消費税を含む付加価値税制度において、外国で消費されるものには課税しないという世界共通のルールに基づく。外国人旅行者(厳密に言えば非居住者)は、日本で買った品物を外国で消費する「消費者」だから、消費税は免税となる。目下、訪日外国人旅行者が増えており、その対応として、Japan Tax-free Shop(消費税免税店)の許可が得られれば、外国人旅行者が品物を買う際にパスポートを見せれば、消費税の免税が簡単にできるようにした。

日本人も、欧州諸国を訪れて、一定金額以上の買い物をした際に、店舗でパスポートを見せて書類を作ってもらい、空港等で免税(還付)手続きをすることがある。これも先と同様の仕組みで、店舗ではいったん所定の税率で課税された上で、手続きをすることで欧州諸国の付加価値税を還付してもらえる。そして、われわれは、消費者として欧州諸国の付加価値税の負担減免を実感する。

還付型の原型は「パスポート提示型」の免税手続き

これと同様のことを、日本国内で日本の消費者(居住者)に対して、店舗にて消費税を軽減する手続きを行うと考えればどうだろう。つまり、パスポートの代わりに、個人を認証するマイナンバーカードを店舗で示し、いったん税率10%で課税されるが、後に対象品目で払った消費税のうちの2%が還付される。これが、「還付型」ともいうべきこの財務省の案の骨格である。

もちろん、これは手間がかかる。そもそも、与党の宿題設定として、痛税感の緩和を消費税制の中で行おうとするのだから、手間をかけずにできるわけがない。

確かに、「還付型」は、軽減税率にまつわる前掲の問題はかなり解消できる。すべての品物はいったん10%で課税されるため、インボイスは導入しなくてよい。財務省の案では消費税の還付に限度額を設けるとしており、対象品目を多くすると税収が減るという問題は解消できる。還付限度額を設けることで、高所得者まで恩恵が及ぶ問題を解消できる。軽減税率の対象品目の選定にまつわる問題以外は、解消可能だろう。

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