「日本型軽減税率制度」は、本当に使えるのか 財務省が示した「還付型」の問題点とは?

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軽減税率の与党協議を中断するにあたり、与党は財務省に宿題を出した。これらの問題を克服できるような案を出すよう財務省に求めた。特に重要視されたのは、消費税負担の軽減を日々実感してもらえるような仕組みとすることだったという。

なぜ給付措置による低所得者対策は消えたのか

実は、ここに、今回の財務省案の含意がある。もともと、財務省も軽減税率には消極的だった。だからといって、政権与党の求めに逆らってサボタージュを決め込むことはできない。与党が「消費者が痛税感の緩和を実感できる」ような仕組みを求めている以上、宿題返しとしてどんな仕組みが考えられるか。

この与党の宿題設定の時点で、簡素な給付措置による低所得者対策という政策手段は、選択肢から外されてしまったといってよい。なぜなら、給付によって事実上の負担軽減を行うとすれば、消費者が痛税感の緩和を実感できないからである。

経済学者(筆者も含む)からは、カナダのように、給付を消費者に配ることで消費税の負担軽減を行う案がすでに出されていた。「給付付き税額控除」の一種で、所得水準に応じた消費者の消費実態を調査した統計などに基づき、税率引き上げによって負担増となる金額を概算し、その金額を低所得の消費者にだけ限定して給付する。

しかし、これでは、給付の額は、(統計の上では近似しているとはいえ)実際の消費活動とは関係なく決められて配られる。10%引上げ時に、消費者は店頭でいったん10%の消費税を払わなければならない。

こうして、給付による低所得者対策は選択肢から消えた。とはいえ、欧州諸国のような軽減税率は、前掲のように問題が多すぎる。となると、どのような形で消費者への負担軽減ができるか。

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