本来、「伝統的なお酢(純米酢)」は、米を蒸して「麹」を育てるところからはじまります。
できあがった麹と蒸した米を混ぜて、ここに「酵母」を加えて発酵させることで、いったん日本酒を造ります。これは飲用の日本酒とは違って、風味の強い酒です。
その酒に「酢酸菌」を加えて、お酒の表面で「酢酸菌」を育てていきます。この「酢酸菌」が、お酒の「アルコール成分」を、お酢の主成分である「酢酸」に変えます。
これを「酢酸発酵」といいます。昔ながらの壺(甕[かめ])で、ゆっくり熟成して完成させます。これを「上面発酵」といいます。
「純米酢」はなぜおいしい?「穀物酢」って何?
できるまで半年から1年かかり、その間に微生物が醸し出す「有機酸」や「アミノ酸」「糖類」などによって複雑な味わい、風味が生まれます。
これが「純米酢」のコク、おいしさを作り出すのです。
このお酢の発酵の過程における主成分を化学的に説明すると、以下の3ステップになります。
【ステップ2】「ブドウ糖」が、酵母で「アルコール」に変わる
【ステップ3】「アルコール」が、酢酸菌で「酢酸」に変わる
化学的には「でんぷん」が「ブドウ糖」になって「酒」になるわけですから、「でんぷん」であれば米に限らず、より安価な小麦やトウモロコシなどを使ってもいいわけです。
ただし、「小麦だけ」「トウモロコシだけ」で作ってしまうと、全然おいしくありません。ですから、米に小麦、トウモロコシを混ぜて作るのが一般的で、これを「穀物酢」といいます。
「穀物酢」は小麦、トウモロコシが混ざっている分、「純米酢」に比べて圧倒的に安いけれども、風味が足りません。でも現実的にスーパーで一番売れているのは、この「穀物酢」です。高価な「純米酢」はなかなか売れません。
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