それから「瓶詰のちらし寿司の素」に使われている「粉末酢」についても述べておきましょう。粉末酢単品の商品も売られています。
これは高濃度(酸度)の「合成酢」や「速醸酢」などの「醸造酢」を、「酢酸ナトリウム」や「デキストリン」などの粉末の基材にしみこませて作るのです。焼きそばの粉末ソースも同じような作り方をします。
「粉末酢」はお酢本来の風味がなくて、私にはおいしいとは思えません。
以前は「粉末酢」を使っていたメーカーも液体にするなど、業界でも切り替えが進んでいるようです。
お酢に「当たりはずれ」が大きい理由
お酢についてはセミナーや講演会などで、食品加工のプロからよくこのような質問を受けます。
「なんでこんなに酢がおいしくないんですか」
「なぜお酢には当たりはずれがあるのですか?」
もちろん一般の方も疑問に思うところだと思います。お酢の製法と種類を知れば、選び方も変わってくるはずです。
いずれにしてもこの「アルコール酢」「速醸酢」は今や一番多く出回っているお酢です。しかも使われている原料は小麦、トウモロコシを混ぜた「穀物酢」がほとんどです。
安く売られている食酢はもちろんですが、市販の「ドレッシング」「甘酢あん」「お酢のドリンク」などの多くは、この「アルコール酢」「速醸酢」です。最近人気の「だし入りの合わせ酢」もこれだと思います。
ただ、ドレッシングやドリンク類であれば、ほかの調味料もいろいろ使われるから、それほど「お酢そのものの味」は問われません。
つまり、それらの食品では、お酢がおいしくなくても、ごまかされるのです。
しかし「酢飯」は、それらの商品とは根本的に違います。そこにこそ「ちらし寿司の素」の盲点があります。
なぜなら「お酢の味」が「ご飯(酢飯)の味」を決定的に左右するからです。
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