「セブン&アイ」創業家の巨額買収を実現する"秘策" 常識的には難しい巨額MBOの突破口を考える

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ではこのように創業家が伊藤忠商事と組み、メガバンクからの融資も受けたうえでMBOを行うとした場合、何が問題になるのでしょうか?

このスキームで一番脅威を感じるはずなのは井阪社長以下のセブン&アイの経営陣です。そもそもACTとの企業防衛に関わる戦いは、現在の経営方針を貫くための戦いです。カナダからの経営介入を退ける代償として、新たに筆頭株主になるであろう伊藤忠からの介入を受けることになります。最悪、ファミマとの対等合併を強いられるとともに、現経営陣は経営から外されるリスクも考えられます。

高いハードルを越える秘策はあるのか

逆に伊藤忠から見れば、経営陣との対立にエネルギーがかかるのであれば、セブンを持つ意味はないでしょう。ここ1~2年、コンビニ業界ではファミマとローソンが躍進する一方で、セブンは苦戦しています。4.6兆円の企業価値で停滞していたセブンに手を貸すよりも、競争で叩き潰したほうがよほど効率はよいという判断になるはずです。

要するにこのMBO案、難しいハードルが2つあって、ひとつはもともと4.6兆円程度にとどまっていたセブン&アイの買収価値を7兆円超に引き上げるロジックが見いだせるかどうか、そして現経営陣を味方に引き入れる提案ができるかどうかの2つのハードルを乗り越えないと仕組みとして成立できないのです。

そこに秘策はないのでしょうか? 実はあります。おそらく創業家はそれに気づいて動き始めたのではないでしょうか。私は今回のMBOのアイデアがひらめいたきっかけは、昨年の西武そごう百貨店売却の経験だったのではないかと推測しています。

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