「セブン&アイ」創業家の巨額買収を実現する"秘策" 常識的には難しい巨額MBOの突破口を考える
昨年、セブン&アイは西武そごう百貨店をアメリカ系ファンドのフォートレスに売却しようとしてひと騒動を起こしました。
フォートレスというファンドはもともと不動産やリゾートの買収に強いファンドで、小売りの経験はそれほどありません。そこで百貨店の労働組合がストライキまで起こして反対したのですが、結局は押し切られて売却されてしまいます。
その際、フォートレスは2200億円で西武そごうを買収すると、即日、西武百貨店池袋店の土地をヨドバシカメラHDに3000億円弱で売却します。つまり百貨店を再建する前に、ファンドとしては買収金額を上回る利益を確定してしまったのです。
もし創業家が同様のことをする場合のシナリオ
もしセブン&アイの創業家がこれと同じことをやろうとしたらどうなるでしょう? 実は7兆円の巨額買収は、現実味を増すことになります。
具体的に説明しましょう。
企業価値に関しては投資銀行や証券会社が業績から独自の金額を算出することがあります。今回の買収報道の中でJPモルガン証券がセブン&アイについて独自の試算額を公表しています。それによればセブン&アイの企業価値の64%は海外コンビニ事業が生んでいます。
私たち消費者から見れば、セブン&アイといえば国内のセブン-イレブンとイトーヨーカドーなどのスーパー、セブン銀行にデニーズといった事業の集合体に見えますが、その価値は全体の3分の1程度の金額でしかないのです。
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