離婚数減少でも「熟年離婚」が減らない3つの理由 「死後離婚」件数も高水準、妻たちの本音は?

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夫との生活を思い出すと怒りがこみ上げてくるようだった。彼女たちが新婚生活を送った1960〜1970年代は「男は仕事、女は家庭」が当然視された時代。家族のケアを一手に担い、夫やその親族から理不尽な目に遭わされても耐え忍ばざるをえなかった。そんな「昭和妻」たちの本音が、彼女たちの言葉からうかがえた。

熟年離婚が減らないのは、抑圧からの解放を求めながら、夫の死まで待っていられないと考える女性が少なくないからではないか。

「死後離婚」も高水準

夫の死後、「死後離婚」に踏み切る女性も増えている。法務省の戸籍統計によると、死後離婚の件数は2005年に年間1772件だったところ徐々に増加し、2017年に4895件とピークに。2023年も3929件と高水準だ。

永代供養墓を手がけるアンカレッジの2017年調査では、回答した既婚女性242人のうち「夫と同じ墓に入りたくない」と答えたのは60人、約25%に上った。「夫が嫌いだから」と答えたのは9人のみで、主な理由は「知らない先祖代々と一緒は嫌」「夫の家族が嫌い」などだった。

「嫁」の役割を担わされてきた妻たちのリベンジが起きている。

医学部入試における女性差別対策や同性婚訴訟弁護団などでジェンダー差別事件を手がけてきた佐藤倫子弁護士は、熟年離婚が減らない理由、要素を3つ挙げる。

1つ目は、定年退職後、一日中家にいる夫に耐えられない妻だ。

「もともと支配的かつ家父長的価値観の夫が、歳を重ねるにつれて気が短くなっている。キレる夫に耐えられなくなった妻が、熟年離婚を決断する」(佐藤弁護士)

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