結婚生活における重要な意思決定の1つに、家族計画がある。子どもを持つか持たないか、いつ、何人の子どもを持つか。その希望(選好)が一致しない夫婦は少なくないだろう。
希望が一致しない場合、夫婦は2人の意見をすり合わせ家計としての結論を出すわけだが、経済学の伝統的な「家計単一モデル」において、そのすり合わせの過程は分析の対象外とされてきた。夫婦は集合的な意思決定を行う最小単位であるにもかかわらず、モデル上では、家計の決断は1人の人物が下しているかのように単純化して捉えられてきた。
このモデルでは現実を正確に反映できない、と指摘されるようになると、異なる選好を持つ個人を明示的に組み込んだ「集合体モデル」や「夫婦間で交渉を行うモデル」も提案された。
ただし、「交渉」とはいっても、夫の発言力が高い場合、夫は妻の選好を十分に考慮せず意思決定をする可能性がある。例えば途上国では、妻にとって有益な新しい技術(改良かまど、田植えの機械化など)が低需要に終始することが報告されている。妻の希望を無視して、家計単位の意思決定が行われている可能性があるということだ。
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