《プロに聞く!人事労務Q&A》パートタイマーの保険加入基準について教えて下さい。

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《プロに聞く!人事労務Q&A》パートタイマーの保険加入基準について教えて下さい。

質問

パートタイマーのために厚生年金保険や健康保険の保険料を支払うのは負担が大きいので、パートタイマーの労働時間を正社員の4分の3未満に抑えています。こうしたことは法律上、問題がありますか?(外食:人事担当)

回答
回答者:社会保険労務士朝比奈事務所 朝比奈睦明所長

【パートタイマーの加入基準】
一般従業員(正規の従業員であり常用労働者)でない者(いわゆるパートタイマー等の短時間就労者)の社会保険加入に関する判断基準は、昭和55年に当時の厚生省が発した指導文書により次のとおり示されています。

【1】 常用的関係にあるか否かは、当該就労者の労働日数、労働時間、就労形態、職務内容等を総合的に勘案して認定すべきものであること。

【2】 その場合、1日又は1週の所定労働時間及び1カ月の所定労働日数が当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者については健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきものであること。

【3】 【2】に該当する者以外の者であっても、【1】の趣旨に従い、被保険者として取り扱うことが適当な場合があると考えられるので、その認定にあたっては、当該就労者の就労の形態等個々具体的事例に即して判断すべきものであること。

この指導文書【2】による両方(1日又は1週の所定労働時間数及び1カ月の所定労働日数)の要件を満たす場合には、社会保険に加入させなければならず、反対にどちらかの要件が満たされなければ加入させる義務はないということです。

【具体例】
<一般従業員の勤務形態> 加入義務あり
・1日の所定労働時間:8時間
(始業9時~終業18時うち12時~13時を1時間休憩)
・1週間の所定労働日数:5日(1カ月の所定労働日数としては21日と仮定)

<パートタイマーAの勤務形態> 加入義務なし
・1日の所定労働時間:8時間
(始業9時~終業18時うち12時~13時を1時間休憩)
・1週間の所定労働日数:3日(1箇月の所定労働日数としては13日と仮定)

<パートタイマーBの勤務形態> 加入義務なし
・1日の所定労働時間:5時間30分
(始業9時~終業15時30分うち12時~13時を1時間休憩)
・1週間の所定労働日数:4日(1箇月の所定労働日数としては17日と仮定)

【運用上の注意】
労働契約書により1日又は1週間の労働時間及び1カ月の所定労働日数が、当該事業所における同種の業務に従事する一般従業員の「おおむね4分の3以上」に達しない場合であっても、就労の実態で判断するものであり、実態が「おおむね4分の3以上」であれば、社会保険に加入しなければなりませんので注意してください。

なお、現在この社会保険加入に関する判断基準が改正されようとしています。改正の内容としては1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、健康保険及び厚生年金保険に加入することを義務付けるというものです。20時間となると、1週間の法定労働時間40時間の2分の1になり、おおむね2分の1以上の労働時間で勤務するパートタイマーに加入義務が生じることになります。

 

朝比奈睦明(あさひな・むつあき)
東京都社会保険労務士会所属。1990年日本大学文理学部卒業。社会保険労務士事務所勤務を経て、2000年4月に社会保険労務士朝比奈事務所を開設。 主な業務分野は、賃金・評価制度等人事諸制度の構築、就業規則作成、社会保険事務アウトソーシング等。著書に「図解 労働・社会保険の書式・手続完全マニュアル」(共著)。


(東洋経済HRオンライン編集部)

 

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