人類は宇宙をなぜ目指す?「お金以外」の本質理由 政治、科学、ロマン…実は深い「7つのワケ」は?

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6つ目は、「人類のため」です。

【衝撃事実】『巨大隕石の地球衝突』は必ず起こる」でお話ししましたが、致命的な巨大天体の衝突が避けられない場合、月や火星に逃げる必要があります。

現在進められている、月・火星探査は「地球のバックアップのため」という意味もあるのです。

また、いまこの瞬間にも宇宙にいる宇宙飛行士の主な仕事は、「人類が豊かに暮らしていくため」の科学実験です。重力に影響されない環境を利用して、難病の治療薬などの研究をしています。

「人類のため」という意識を持って宇宙開発に取り組んでいる人は、他にもいます。

たとえば、宇宙から地球を観測する人工衛星を利用して、雨の降り方を調べることで防災に役立てる研究をしたり、二酸化炭素の量を調べることで地球環境の未来のための研究をしたりしています。

東大宇宙博士が教える やわらか宇宙講座
万が一のために、月や火星に住めるようにしておく必要がある(画像:『東大宇宙博士が教える やわらか宇宙講座』より)

人類は宇宙のどこまで旅できるか?

7つ目は、「本能が呼びかけているため」です。

私たち現生人類(ホモ・サピエンス)は、約30万年前にアフリカで誕生し、地球上に広がりました。

脳科学の一説によると、5人に1人が持つ遺伝子が、リスクを取って冒険したがる欲求と関係しているらしいです。

「危ないからやめよう」と止めても、「まだ誰も火星に行っていないなら、行くぞ!」と衝動を抑えられないというのです。

7つの理由のどれか1つだけでなく、複数の理由が組み合わさることもあるでしょう。

数々の思惑が絡み合いながら、やがて多くの人が月で暮らし、火星に到達する日が来るはずです。さらに長い目で見ると、太陽系、銀河系へと広がっていくかもしれません。

果たして、人類は、宇宙のどこまで到達することができるのでしょうか?

東大宇宙博士が教える やわらか宇宙講座
太陽系は、やがて人類の生活圏になる?(画像:『東大宇宙博士が教える やわらか宇宙講座』より)

(イラスト:村上テツヤ)

井筒 智彦 宇宙博士、東京大学 博士号(理学)

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いづつ・ともひこ / Tomohiko Izutsu

1985年生まれ。東京大学理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了。NASA(アメリカ航空宇宙局)人工衛星のデータ解析により、宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証し、2010年地球電磁気・地球惑星圏学会にてオーロラメダルを受賞。東京大学での研究を終え、コロラド大学のNASA人工衛星解析チームに入る話が進むも辞退し、2013年少子高齢過疎化が進む広島県北広島町芸北地域に移住。宇宙飛行士のコスプレをして、テレビ、ラジオ、新聞、YouTubeなどのメディアで宇宙の魅力を楽しく伝えながら、「宇宙町おこし」に取り組んでいる。その活動が評価され、2015年公益社団法人日本青年会議所の人間力大賞・総務大臣奨励賞を受賞。●井筒智彦YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCL7OvecPUxQ413cFJ0CIosw

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