3つ目は、「新しいモノを生み出したい」という技術的・工学的な動機です。
宇宙に挑むには、ロケット、探査機、生命維持装置などの機器が欠かせません。
とくに、今後、月や火星での長期滞在を目指そうと思うと、革新的な技術開発が必要となります。多くの困難を乗り越えなければならないわけですが、そこに燃える人もいるのです。
1つ目がロマンチスト、2つ目がサイエンティストなら、3つ目はエンジニアですね。
宇宙開発は国力の誇示につながる
4つ目として、「国の力を誇示するため」という政治的・軍事的な理由もあります。
歴史的に宇宙開発は軍事開発と表裏一体でした。ロケットを計算通り宇宙に飛ばせるということは、敵国にミサイルを撃ち込む能力がある、ということになるからです。
実際、ロケットは、その先端に、人や物を乗せれば「宇宙ロケット」に、爆弾を積めば「弾道ミサイル」になります。飛んでいく仕組み自体は同じです。
現在でも、宇宙開発で存在感を示すことは自国の力を誇示することにつながるため、各国の政府が宇宙開発に投資しているという側面もあります。
今回、宇宙空間に投入された防衛省の通信衛星「きらめき3号」
国の力を強化・誇示することは大切なことではありますが、宇宙開発の発展の先に理不尽に人が傷つけられることがあってはなりません。
宇宙を目指す理由のなかで、政治的・軍事的な理由の比重が大きくなりすぎてバランスがおかしくなっていないか、世界の動向を見守る必要があるでしょう。
5つ目の理由は、「ビジネスのため」です。
近年、衛星を打ち上げてほしいという需要が高まっているため、安く、確実に宇宙に運んでくれるロケットを作れば、大きなビジネスになります。
JAXAの新型ロケット「H3」は、
ただ、「宇宙ビジネス=単なる金儲け」というわけではありません。
たとえば、日本では、さまざまな民間企業がJAXAと共同で、宇宙飛行士の生活向上のための製品を開発しています。水の使用が制限されている宇宙ステーション用に開発した製品は、災害によって断水が起きてしまった被災地でも役に立つことができます。
宇宙と地上、両方の暮らしの向上を目指してビジネスをしている企業もあるのです。
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