アフターコロナでの健全な心身の取り戻し方 経験者の知恵をうまく拝借する方法とは何か

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窪田:アメリカでは子どもは屋外で遊んでいるほうが人気者で、いい育て方をしていると見られる傾向にあります。学校から帰宅してずっと家で勉強していると、「大丈夫?」とかえって周りの大人から心配されてしまう文化なんですね。

春山:なるほど。私が屋内というキーワードでもう1つ気になっているのが、コロナの影響です。あの2〜3年間、子どもたちが身体を動かす機会を相当奪われてしまいました。子どもの身体測定でも体力測定でも過去最低値を記録したと聞いています。

窪田:おっしゃるとおりですね。子どもの近視有病率もコロナ禍で確実に増えました。

春山:日本では他国に比べるとゆっくりコロナが明けていった印象を持っています。そのため、まだ当時の室内中心の生活様式や習慣が残っていると思います。

それは意識面でも同じようで、例えば思春期の子の中には、必ずしもマスクをしなくてもよくなったのに、マスクをしていないと恥ずかしいと思ったりする子が一定数います。 それは余暇の過ごし方にも当てはまるのではないでしょうか。だからこそ、より意識を持って外で遊ぶ、外に出ることが大事だと思います。

近視の抱えるリスク

窪田:そうですね。奇しくも、いかに屋外にいることが人間の身体にとって大事かがコロナ禍を通じてわかりました。コロナ禍前の通常モードに身体を戻す必要性をもっと強く発信していきたいですね。

窪田良
窪田良/慶応義塾大学医学部卒業。慶応大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている(撮影:梅谷秀司)

春山:そうですね。近視有病率が上がっているのは、室内中心の生活になっていることと、屋外で身体を動かさなくなってきたことが原因として複合的に絡み合っていそうですね。

窪田:悪循環ですよね。人間は目から80%の情報を入手しています。視機能の低下は全体的な認知機能が低下することでもあるので、精神的にも身体的にも近視によってさまざまなリスクが発生する可能性が高まります。

今まで近視は身体の成長期を迎えている子どもが罹るものとされていました。ですが、今や大人になっても近視が進む事例が増えています。どの世代の方にも屋外で太陽光を浴びている時間を1日合計2時間程度確保して、目の健康を保持していただきたいです。

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