科学で証明「寝不足だと食欲が増す」は本当だった 専門家が明かす、睡眠と太りやすさの深い関係
睡眠中に血糖が上がるのは、インスリンの血糖を下げるはたらきが、睡眠前半では鈍っている影響もあります。
睡眠時間の中間時刻で血糖値は最大ピークを示し、睡眠後半にかけては、インスリンの血糖値を下げるはたらきが回復し始め、血糖値は朝にかけて減少していきます。
このように睡眠の前半と後半では、血糖値の動きは大きく異なります。どうしてか、答えを考えてみましょう。ヒントは、睡眠の前半は、深いノンレム睡眠が多く出現することです。
睡眠中に血糖値が上がる犯人は「脳」
人体で、いちばんブドウ糖を消費している臓器は何でしょうか?
そう、脳です。脳はどの臓器よりも多くのエネルギーを消費していて、1日に消費するエネルギーの20%弱を占めています。
睡眠の前半の深いノンレム睡眠、すなわち徐波睡眠では、脳のブドウ糖代謝が覚醒時と比較して30~40%と、著しく低下します20。脳がブドウ糖を消費しなくなるぶん、血糖も余ってしまい、血糖値が高くなるのです。
また、徐波睡眠では、成長ホルモンの分泌も活発になります。成長ホルモンの分泌もまた、血糖値を高くします。
さらに、睡眠中に分泌が活発になるホルモンであるメラトニンですが、夜間のメラトニン分泌の増加が、睡眠中の血糖値を下がりにくくしている可能性があるようです21。
レム睡眠が優勢になる明け方の睡眠の終わりには、血糖値とインスリン分泌は睡眠前の値に戻ります。レム睡眠では、ノンレム睡眠のときよりも脳のグルコース代謝も活発になり、また交換神経の活性化によって体の代謝が活発になるため、ブドウ糖消費が増えるためと考えられています。
もしかすると、夜中の血糖値が上がるので、健康に良くないように見えるかもしれません。しかし、そうではありません。
当たり前ですが、血糖値は人体で生じる物質の合成や分解などの化学反応、すなわち代謝に重要なはたらきをしています。
睡眠不足になると、この代謝に悪影響を及ぼし、肥満やメタボ、糖尿病などの生活習慣病になりやすくなります。ですから、夜中の血糖値が上がってもよく寝るほうが健康的といえます。
キーワードは、次に説明する、レプチンとグレリンです。
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