「妻の愚痴に毎日付き合うのが苦痛」問題の解決法 「共感」と「同感」は似ているようで大きく違う
ここで、ちょっと視点を変えてみます。
「共感が大事」というけれど
「共感」と「同感」の一見似たようなこの2つの言葉に、どのような違いがあると思いますか?
共感と同感は、似た言葉ですが、この2つはコミュニケーションにおいて、大きな違いを生みます。
共感:相手が感じたように感じてあげること
たとえば、女性の友人から次のような相談をされたら、皆さんはどう対応しますか?
「いま付き合っている彼氏がいるのですが、暴力をふるいます。機嫌が悪いと、蹴ったり叩いたりしてきます。でも、暴力があったあとはすぐに反省して心から謝ってくれるし、すごく優しくなります。暴力がイヤだから別れたいけど、その優しい彼が好きで、離れられません。どうしたらいいのでしょうか」
安易には返答しにくい、ナイーブな相談です。
そのため、傷ついてる彼女の気持ちを考え、彼女の意見を否定せず、全面的に寄り添うようなアプローチをとるべきでしょう。しかしその場合でも、じつは2つの種類があります。
同感アプローチと共感アプローチです。
その友人に対して、何らかの意見を主張したなら、それは「同感アプローチ」になっています。
・別れられないということは、まだ好きなんじゃないの?
・あなたがどうしたいかが大切なんじゃない?
・専門家に相談するべきなのではないか
・代わりに私が専門家に掛け合ってみようか?
ちょっとわかりづらいのですが、上記の発言には、相手に寄り添っているようで、じつは真っ先に自分の意見が現れています。いわば、同感だという自分の意見を、相手に通そうとしているわけです。
では、「共感アプローチ」とはどういう対応になるのでしょうか。
相手が感じているように、自分も感じとるだけ。
これが、共感アプローチです。
暴力も振るわれていて、身の危険もあるこの状態を、共感アプローチだけで済ませることは、男性脳ではありえないことでしょう。すぐにでも行動を起こし、解決に向かいたい衝動があるはずです。
ところが、ただ話を聞いて共感してほしいだけなのです。
この話をもとに私は、ビジネスの世界でも共感アプローチの姿勢を重視し、「アプローチの順番が大事」だと伝えています。
同感アプローチでは、自分の意見が先に来ます。これを上司が部下に行った場合、一見寄り添っているようであっても、上司は部下の話を聞かない、ということになります。
すると、部下も部下で、上司の指示に対して「なんであんな指示を出すんだろう?」「私はもっと違う方法のほうが良いと思う」と、自分の意見を先にして、上司の指示を理解しようとする働きが弱くなります。