「法務をわからない人」が出世できない理由 ビジネスパーソンが押さえるべきポイント
宮下:ビジネスパーソンにとっての法的リスクは、おばけ屋敷の恐怖に似ています。つまり、実態の見えない、未知のものに対する漠然とした恐怖感です。時折、ビジネスパーソンの方々が、「法的リスク」や「訴訟リスク」という言葉を、その内容が明らかになっていないままで使ってしまい、結果、漠然と恐怖感(リスクに対するイメージ)を倍増させてしまっているシーンを見かけることがあります。本書を通じて、法律を抽象的に恐れるのではなく、正確なリスク感覚をもって具体的に分析していただきたいとの思いを込め、「法的リスク」「訴訟リスク」とは何かを説明するところから本書は始まります。
知りたいことを効率的に知れる
――「法律」というだけで「自分には関係ない」と思ってしまう人も多いものです。
宮下:『逆引き法務』は、法律書というより項目の構成自体が「商品の値上げ」や「プロモーション」といったビジネスの言葉で書かれていますので、読者の方には関心のあるビジネスのアクションから読んでもらいたいです。各テーマの冒頭では、アウトラインを記載していますので、これをチェックリスト代わりにご利用いただくこともできますし、知りたい部分だけを効率的に読むということも可能な構成になっています。
――会社の中で出世していくと責任も重くなっていきますし、ましてや役員なんかは法令違反など不祥事が起きた際には個人的にも大きな責任を取らされます。
塩野:そういう意味では、これからは出世していくのに法的な感覚は必須のものだと思います。特にグローバルなビジネスをされている商社やメーカーのマネジメントになる方は、法的リスクへの感度はなくてはならないものです。
宮下:最近は、社外取締役の経営への積極的な参加が注目視されています。これは、“企業風土”や“企業文化”の美名の下に隠されてきた悪しき社内の論理に法令遵守のメスを入れることの重要性が再認識されてきたことの表れだと思います。「法律の大切さは痛感しているが、いまさらどうやって身につければ?」と頭を悩ませている方々に、本書をひとつの選択肢としてご検討いただければと思っています。
――偉い人でも契約書は弁護士に丸投げでかかわらない人はいますよね。
塩野:たとえば、戦略系ファームのコンサルタントなんかも法律や契約がわからない人は多いのです。ベンチャー企業が元戦略コンサルタントを雇って、何でもできると思ったら「契約書をみるのは初めてです」ということがあります。そういった事業側に行きたいコンサルタントにも読んでもらいたいです。
宮下:ひとりで何でも考えなければならない立場の起業家、ベンチャー経営者の方々にも読んでいただきたいですね。
塩野:私も起業した時に契約の重要性を痛感しました。法務は将来、偉くなる人には必須スキルです。社外取締役を頼まれて、こっそり勉強したい方もぜひ、お読みください。
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