9月以降はやや持ち直している格好だが、一方の米国株は9月26日にS&P500種指数が最高値を更新している。良好な外部環境に助けられているにもかかわらず、2024年春先までは非常に好調だった日本株は、米国株と比較してアンダーパフォームしたままである(年初来の騰落率はS&P500種指数が+21.1%、TOPIXは+15.2%。アメリカは9月26日、日本は9月27日時点)。
「石破新首相」の金融財政政策はどうなるのか
日本株が冴えなくなった最大の理由は、やはり為替相場にある。ドル円は一時1ドル=140円を割り込むなど、ほぼ年初と変わらない水準に戻ったことだ。2024年度の経済成長見通しがゼロ%台に下振れる中で、通貨当局による円高誘導介入、日本銀行による利上げという、金融引き締め策が相次ぎ、これらに株式・為替市場がいずれも反応した格好だ。
結局「岸田政権の退陣表明」(8月14日)という政治情勢の混乱に乗じて、引き締め的な経済政策に「前のめり」な政治家や経済官僚の政治力が強まっていたわけで、筆者は、日本経済はかなり危うい状況にあると懸念していた。
ただ、次期政権が揺らぎつつある金融財政政策を立て直し、経済成長を高める政策が強化されれば、日本株は米国株と同様のパフォーマンスに再び追いついても不思議ではなかっただろう。
ここで改めて石破次期首相の金融財政政策に対する見解を、以下で整理しておこう。
財政政策について、石破氏は政策集でも「経済あっての財政との考え方に立ち、デフレ脱却最優先の政策運営を行う」としており、9月25日の記者会見でも「岸田政権の取り組みを引き継ぐ」と述べている。石破氏は推薦人を確保する過程で、経済成長を重視する政治家による政策提案を受け入れたとみられる。
一方で、石破氏は「法人税には引き上げ余地がある」と言及するなど、むしろ緊縮的な財政政策を志向し続けているのではないか。石破次期首相の本当の考えは、財務相など、10月1日以降に行われる組閣の人選によっても判明するだろう。
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