石破政権では意外に低金利政策が続くとみるワケ 円安は抑制、利上げも0.75%程度で打ち止めに?
石破茂氏が9月27日に自民党総裁選挙に勝利した後、円高が急速に進行し、同月末の日経平均株価は大幅下落となった。一部の海外投資家の間で「石破政権が日銀に利上げを迫る」といった思惑が生じた可能性がある。
その後、石破新首相は10月2日に日銀の植田和男総裁と会談後「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と報道陣に語り、一気にドル高円安が進んだ。果たして石破政権下では本当に円高、株安となるのだろうか。石破新政権の誕生を踏まえ、今後の日本株を占っていきたい。
日銀の政策態度は為替が「先」で金融政策が「後」に
「日銀の利上げに伴う円高は、日本株の重荷になる」――。もしこうしたマーケット関係の記事があれば、読者のみなさんは、すんなりと受け入れてしまうのではないだろうか。
だが、実はこうした「波及経路」は、今は存在していない。というのも、日銀の政策態度は為替従属の色彩を強めているからだ。端的に言えば「円高なら利上げはしない。円安なら利上げに動く」という具合になる。事実、今年に入ってからの日銀の政策変更および情報発信は、為替との関係が強まっている。
7月上旬にドル円相場が1ドル=160円を突破し、利上げの選択肢しか持たなくなった日銀は、7月31日の金融政策決定会合で利上げを実施した。その後、世界同時株安と相まって140円程度まで円高が進行すると、8月7日に内田真一・日銀副総裁は「円安の修正は政策運営に影響する」「金融市場が不安定な下で政策金利の引き上げはしない」として、軌道修正した。この発言には為替が「先」、金融政策が「後」という従属関係が前提に置かれている。
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