石破政権では意外に低金利政策が続くとみるワケ 円安は抑制、利上げも0.75%程度で打ち止めに?

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また、日銀の声明文にも為替従属の姿勢が透けて見える。声明文の最終段落(リスクへの言及)は「リスク要因をみると(中略)わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。(中略)とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」と結ばれている。

説明順序は「為替→物価→金融政策」である。また植田和男日銀総裁は円安修正によって、政策を見極める時間的余裕が増していると発言している。これらはいずれも、円安が進まないなら利上げを待つと読み替えることができる。

石破政権下ではむしろ低金利政策が続く可能性

こうした前提を踏まえたうえで、石破政権の誕生が金融政策にどういった影響を与えるのか考えてみたい。結論を先取りすると、筆者は(高市早苗氏が首相になったときよりも)石破政権でむしろ低金利政策が長く続くと考えている。総裁選の決選投票に残った高市氏の政策理念は「拡張的財政政策が必要、金融緩和は積極的に」といった具合であり、総裁選直前の金融市場では同氏の勝利を見込み、円安・株高が進行した。

それに対して石破氏は「財政規律重視、金融緩和は節度を持って」という具合に高市氏の対極にあった。そのため、石破氏の勝利が伝わると金融市場では大幅な円高が進行し、週明けの株式市場では日経平均株価が約2000円の下落となった。市場参加者、とくに日本の事情に必ずしも精通していない海外投資家は「石破政権が日銀に利上げを迫る」との予想に基づき、円買いを実施したとみられる。

ここで改めて重要なのは、円高それ自体が日銀の利上げを抑制することだ。ゆえに筆者は、緩和に積極的でない石破政権のほうが、(金融市場で自然に円高が進むので)結果的に利上げは緩やかになるとみている。円安が抑制され、輸入物価に下押し圧力が加わることで、日銀は物価の基調を見極める際の時間的余裕が増す。

仮に高市氏が首相に選出されていた場合、日銀に緩和を続けるよう圧力をかけるのは必至だったことから、その際は円安が急加速し、輸入物価の上振れリスクが高まることで、日銀はむしろ利上げに追い込まれる可能性が高まっていたのではないか。

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