派閥が解消されて、縛りがなくなったためだろう。史上最多の9名が出馬することになった今回の自民党総裁選では、各人がそれぞれの主張を展開している。特徴的なのは「スピード感」と「刷新感」がある反面、過去を引きずっている印象も強い。
父・純一郎氏が断行した改革が足かせに
まず小泉進次郎元環境相は9月6日の出馬会見で、「政治を加速させたい」と、総裁就任後に衆議院の早期解散を提唱。政策活動費の即廃止も発表した。
そして、「日本の産業の柱を一本足打法から二刀流へ」と進めるため、「雇用規制の見直し」を掲げたが、これが不評を招いている。理由は父・純一郎氏が首相時代に断行した改革だ。
小泉政権では労働基準法を改正し、有期労働契約の期間上限の延長や裁量労働の拡大などを実現。また労働者派遣法を改正し、派遣業種を拡大させて正規労働者を減少させた。
「構造改革なくして経済成長なし」との掛け声で進められた同改革だが、格差の拡大と固定化をもたらした。そしてこれらは、現代の最大の問題である「非婚・少子化」の遠因とも見られている。
純一郎氏による小泉改革の"デジャブ感"は、郵政問題にもついてまわる。郵政改革の基本理念は「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展並びに豊かで住みよい地域社会の実現に寄与すること」のはずだったが、土曜日や翌日の配達がなくなり、郵便物が届くまで時間がかかるようになった。多くの郵便ポストも廃止され、サービスの値上げは断行されている。
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