そうしたことに着目したのだろう。林芳正官房長官は10日の政策発表会で、「郵政民営化法を改正して、郵便局のネットワークを地域振興に生かすよう、郵政事業を再構築する」と宣言した。狙いは約3万票の党員票を持つ全国郵便局長会(全特)だ。
もっとも全特もリスク分散するはずだ。9月12日に行われた上川陽子外務相の出陣式には、元全特会長の柘植芳文参院議員が顔を出した。そして20日には、小泉氏が野田聖子元総務相に伴われて全特の幹部と都内で面談している。
永田町関係者は「野田氏の顔をたてて、岐阜県内の郵政票を小泉氏に入れるのではないか」と語るが、20年前からの禍根がすぐさま消えるとは思えない。
茂木氏は自分の過去を断ち切るような大胆政策
自分の過去を断ち切るように大胆な政策を打ち出したのは、茂木敏充幹事長だ。幹事長として約10億円の政策活動費を受け取りながら、「政策活動費の廃止」を訴え、幹事長として岸田政権を支えてきたにもかかわらず、「防衛増税反対」を打ち出した。
同じく反対するのは高市早苗経済安全保障担当相だが、茂木氏が経済成長で税収が増えることを理由とする一方で、高市氏は「今は反対」と慎重派だ。
小泉氏や林氏、上川氏や河野太郎デジタル相、そして加藤勝信元官房長官は岸田路線を踏襲する。石破茂元幹事長や小林鷹之前経済安全保障担当相は岸田路線に賛成するものの、増税開始時期や使途内容に条件を付けている。
「武器購入だけでなく、自衛官の育成にも使うべき」とする石破氏はまた、「アジア版NATO」の創設を提唱する。高市氏は非核三原則のうちの「持ち込ませず」の見直し派だ。河野氏は原子力潜水艦配備を打ち出したが、ゴリゴリの脱原発派だった河野氏の“変身”に、驚く声は少なくない。
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