大乱戦となった自民党総裁選は、石破茂元幹事長(67)の“大逆転勝利”で幕を閉じた。10月1日召集の臨時国会冒頭で首相指名を受け、同夜、石破新政権が発足する。石破氏は総裁選5度目の挑戦での悲願達成。“3強”として同氏と激しく競り合った高市早苗経済安保相(63)は決選投票での予想外の敗北に顔を強張らせ、国民的人気で当初本命視された小泉進次郎元環境相(43)は涙目で虚空をにらむなど、3氏の明暗もくっきり分かれた。
自民党総裁選史上でも、「決選投票も含め、投票箱を開けるまで分からない」(自民長老)という激戦は「ほとんど例がない」(党事務局)とされる。「派閥解消により個別議員への締め付けが緩んだことが背景にある」(政治ジャーナリスト)とみられているが、最終局面では派閥を維持する麻生派だけでなく、旧岸田派をはじめすべての旧派閥が“暗闘”を繰り広げ、「派閥政治の根深さを露呈」(同)したのは否定しようがない。
そこで注目されたのが、首相経験者を中心とする“影の実力者”たちの「キングメーカー争い」。なかでも、麻生氏が高市氏、菅義偉前首相が小泉氏、岸田首相が石破氏をそれぞれ支援して水面下で虚々実々の駆け引きを展開したとされるが、「最終的には岸田氏が完勝、菅氏が痛み分け、麻生氏が完敗」という結末に。
石破新総裁誕生後、壇上に並んだ3氏は満面の笑みの岸田氏に対し、菅氏は平静を装ったが、麻生氏は苦虫をかみつぶしたような表情で新総裁への拍手も形だけで、3氏の確執の激しさも浮き彫りとなった。
人事の骨格は「森山幹事長・林官房長官・菅副総裁」
今回総裁選での「5度目の正直」に、眼鏡の奥の感涙をそっと拭った石破氏にとって、最初の関門となったのが党・内閣人事だ。「これまでのような派閥順送り人事に堕すれば国民的不興を買う一方、脱派閥での一本釣りばかりでは、党内に不満が鬱積しかねない」(閣僚経験者)。
もちろん、高市、小泉両氏だけでなく、総裁選で戦った8氏の処遇で、石破氏のトップリーダーとしての手腕が問われることも避けられず、「岸田首相からの“宿題”ともなる『ドリームチーム』の実現は容易ではない」(同)との声が相次いだ。
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