ほっかほっか亭「コラボ依頼して賛否」への違和感 日清食品「10分どん兵衛」の成功例に倣えるか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ほっかほっか亭の話に戻ろう。SNS上では、今回の騒動を受けて、「懐かしい」「まだあったのか」といった投稿も見られた。

ほっかほっか亭は、「ほか弁」という言葉を生んだほど、以前はメジャーな存在だった。詳細は省略するが、2007年に商標権をめぐって対立が起こり、フランチャイズ契約をしていたプレナスが離脱し、「ほっともっと」が誕生した。

以降、「ほっかほっか亭」と「ほっともっと」が並立する状況となっているが、「ほっともっと」のほうが店舗数も多く、売上高も大きい。

筆者自身は、子どもの頃は、ほっかほっか亭の弁当を購入していたが、現在の生活圏にはほっともっとしかない。旅行や外出の際に、ほっかほっか亭を見かけることがあり、「懐かしい」と思ったりする。

筆者のような人は少なからずいると思うが、そういう人が今回の件で、ほっかほっか亭の存在を思い出したり、再び興味を持ったりしただけでも、効果はあったように思う。

リュウジさんとのコラボが実現するかどうかはわからないが、現時点でも話題性は十分あったと思う。一方で、批判的な意見にも一理あると思う。

たとえ味が良くなったとしても、ほっかほっか亭の既存顧客が、リニューアルした商品を受け入れてくれるかどうかは未知数だ。

リュウジ
大絶賛だった「のり弁」とは打って変わり、「しょうが焼き弁当」には辛口なコメントも(画像:YouTube「料理研究家リュウジのバズレシピ」より)

インフルエンサーの意見と顧客のニーズは一致するか

マーケティングの教科書にも載っている有名な失敗例として、米コカ・コーラ社のニュー・コークの事例がある。

ペプシコーラの攻勢に対抗して、1985年に新しい味の「ニュー・コーク」を発売した。事前の味覚テストは好評だったにもかかわらず、実際に発売したら多くの消費者から猛反発を受けた。結果的に味を元に戻すことになった。

失敗の理由はいくつも考えられるが、要するに、消費者が本当に求めていたのは、飲み慣れていたコカ・コーラの味であって、より美味しくなったコカ・コーラではなかったということだ。

ニュー・コークと同じような失敗が最近日本でも起きている。森永乳業は2022年に「リプトンミルクティー」を終売にして、新たに「ロイヤルミルクティー」を発売した。旧ミルクティーの飲用者から反発を受け、同社のお客様相談室には、667件の復活を求める意見が寄せられたという。

これを受けて、森永乳業は、終売からわずか1年足らずで「旧発売」と称して、リプトンミルクティーを再発売した。

消費者の真の声を汲み取って、商品に活かすことは、思いのほか難しい。1人のインフルエンサーの声が、数多くの顧客の声を代弁しているとは限らない。

次ページ「10分どん兵衛」の成功例
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事