欧米勢も商業銀行へ回帰、三井住友の存在感は高まる--三井住友銀行頭取 國部毅
国内では資金需要の低迷が続き、欧州債務危機を契機に海外経済の減速懸念もくすぶる。決して楽観を許さない市場環境の中、国内外での成長をいかに推し進めるか。4月に三井住友銀行の3代目トップに就任した國部毅頭取に聞いた。
--東日本大震災や欧州債務危機など、内外で厳しい情勢があります。足元の事業環境をどう受け止めていますか。
当行はこの4月でちょうど発足10年。新たな10年に入り体制も変えた。私がやろうとしているのは、日本で確固たる事業基盤を築き、高い成長力を持つ海外事業を拡大すること。世界に通じる金融グループを目指すという方針で、5月に中期経営計画を公表した。グローバル、トップ・クオリティ、プロアクティブ(先を見据えた)をキーワードに、個人取引や法人取引、アジアを含む新興国の商業銀行業務など、五つの戦略事業領域を強化していく。
──資金需要が弱い国内で、収益拡大の余地はあるのでしょうか。
従来の取り組みをベースにして、チームSMBC(三井住友銀行)という考え方を加えた。お客様にいろいろなサービスを提供する場合、一つの部隊で完結することは非常に少ない。専門部の知識を組み合わせ総合的に対応することが必須で、そうした動きを促進していきたい。
連携という意味では、銀行・証券がある。SMBCとSMBC日興証券、SMBCフレンド証券にはコンサルタントが5000人いる。彼らが専門性を高め、生産性を向上させて、証券会社が持つ優れた商品をSMBCのお客様に提供していく。銀行と証券のクロスセルを拡大し、リテールビジネスも強化する。
次が法人と個人の連携だ。4月から東西約30店で法個一体の運営を始めた。たとえば、法人オーナーや地権者取引などは一体化したほうがより推進されるということから、30店で法人営業部の中に個人取引のラインを入れた。土地の売買を捕捉できたり、貸し出しがあったり、非常にいい成果が出ている。