欧米勢も商業銀行へ回帰、三井住友の存在感は高まる--三井住友銀行頭取 國部毅
三井住友銀行は、まさに商業銀行をベースとしたモデルでやってきた。一連の規制議論で銀行に求められているのは業務や経営の質の高さだ。われわれの経営のキーワードにも「クオリティ」がある。今の考え方を進めていくことが、バーゼル規制が求めるモデルを満たすと考えている。また、欧州問題からの混乱を含めれば、邦銀のプレゼンスは、相対的に、急速に高まっている。
──自己資本比率の引き上げを求められる欧州系金融機関では、資産売却の動きが出ています。
欧州の金融機関を中心に、一部の米系金融機関からも、資産買い取りの打診が数兆円規模で来ている。先般はバンク・オブ・アイルランドから約5・9億ユーロのプロジェクトファイナンス資産を購入した。基本的にわれわれが目指すビジネスモデルや戦略に合致することが大事だ。採算を見て厳選していく。打診は多くあるが購入はごく少ない。
欧州問題は長引くと見ており、検討する期間はずいぶんある。慌てず、じっくりと見極めていきたい。
--現時点でオリンパスは第三者委員会が調査中ですが、メインバンクとしての支援姿勢は。今回の件で、大企業の与信管理を見直す余地はあるのでしょうか。
オリンパスの件を最初に聞いたとき、正直、非常に驚いた。ただ、同社の内視鏡事業は高い技術と専門性を持ち、シェアも7割と突出している。当然、第三者委員会の調査結果を踏まえてだが、事業の社会性などを加味して支援を行っていくのが基本スタンス。あれだけの優良大企業で監査法人が監査をしていると、メインバンクといえども情報は限られる。結果的に、損失計上の先送りがわからなかったのでたいへん残念だが、限界があるのも事実だと思う。