"時代遅れ"の「ファミレス」とくに厳しい店の正体 ガスト等の安い店より、中価格帯のほうがキツい?

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筆者としては、特に「ディストピア化」を批判するつもりはなく、その工夫を面白く感じていた。

実際、すき家ぐらいの低価格帯の店であれば、こうした業務の機械化による「ディストピア化」も許容されるだろう。なぜなら、顧客の期待は「価格」にあり、満足なサービス等を求めて来ているわけではないからだ。

大事なのは、DX化が戦略や客層にマッチしているか

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つまり、重要なのはその店のターゲットと、その戦略がどれぐらい一致しているかである。ガストも、誕生した当初から「激安」路線を貫いており、その点ではDX化や効率化と相性がいい。

その点で、やはり中価格帯の店は、身の振り方が難しい。顧客からすれば、「せっかく、ちょっと高めのファミレスに来てるんだから……」となるし、そこでのサービスが安価なファミレスと同じであれば「じゃあ、そっちに行こう」となる。消費者からすると、なんとも中途半端に感じられてしまうのだ。実際、ジョナサンに訪れてそのように感じたことがある人も多いのではないか。

「ファミレス業界に、以前ほどの勢いがない」と一口に言っても、さまざまなファミレスがある。しかし、真っ先に苦境に立たされるのは、低価格帯のファミレスではなく、ジョナサンのような中価格帯のファミレスかもしれない。

谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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