一定額以上の買い物をすると、お店が税金還付のための書類を作ってくれる。それに必要事項を書き込み、出国空港の税関で「該当商品を見せて」承認印をもらう。その後、承認済みの書類を所定のカウンターに持ち込むと、税金の還付が受けられる。
文字にするととても簡単なことに見えるが、実際にはとんでもなく煩わしい。欧州の某空港ではアジア行きのフライトが重なる時間帯だと、税関で承認を得るのに1時間以上並ぶこともなる。欧州旅行の帰路、手続きそのものを打ち切って泣く泣く搭乗した苦い思い出を持つ人もいるかもしれない。
日本の免税手続きは簡単で優れている
日本の消費税免税店で買い物しても、空港で列に並ぶといったような面倒な手続きはない。日本の税関では書類と持ち出し商品との突き合わせは一切行っていないからだ。
訪日客が空港でやるべきことといえば、該当商品を買った店舗の店員がパスポートに留めてくれた書類を自分で外して、出国手続き場の手前にある税関カウンターの箱に投入するだけ。もし欧州と同じ手順で商品確認や戻し税の手続きをしたら、税関の列はとんでもない長蛇の列になってしまうはずだが、そうはなっていない。
どこかの国の空港で「税関カウンターで、時計とにらめっこしながら列に並び、荷物を見せて、ようやく係員からハンコをもらった」経験のある人がこれを読むと、「日本はそんな簡単だなんて信じられない」という感想を持つのではないか。
日本の仕組みは簡単だ。還付方式には次の2種類がある。
●商品購入時にパスポートを提示して、消費税を引いた金額を支払えばいい(ドラッグストアではこの方式が多い)。
●商品購入時に消費税も一旦支払い、店内の別のサービスデスクなどでレシート、パスポートなど必要書類を提示して消費税の還付を受ける(デパートやスーパーなどではこの方式を用いる。手数料がかかる場合もある)。クレジットカードで買い物しても還付分は現金で戻される。
どちらも店舗内で完結する。つまりEU加盟国などのように、税関でハンコをもらった後に、還付のためにもう一度並ぶ、といった手間もない。
実に簡単なのだ。筆者はロンドン行きの機内で出会った前出の英国婦人に、日英の免税手続きの違いについて話をしてみた。日本はヒースロー空港のような行列に並ばなくてもいいのですよ、と。
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