「もし、自分が外国人だったら絶対に使ってみたい」
そう多くの鉄道ファンが思っている夢のような万能周遊券が、JR6社が共同で発行している「JAPAN RAIL PASS(以下、JRパス)」だ。本稿でもこれまでに多くの訪日客がこれを使って日本全国を回っている、と説明してきた。
今回は海外からの観光客がこの万能周遊券をどのように使っているのかを探っていく。そこには、さまざまな問題が隠されているからだ。
東京―大阪を1往復で元が取れる安さ
JRパスの2015年度の券面価格は、最も安い普通車用7日間タイプで2万9110円。単純に割り算すると1日当たり4000円ちょっとだ。
全体の金額を考えたら、新幹線で東京―新大阪間を1往復したらほぼ元が取れる。グリーン車7日間タイプは3万8880円だから、お得感がさらに大きい。
JRパスは基本的にJR全線・全列車に乗れるが、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」と山陽・九州新幹線の「みずほ」には別途、乗車券と特急券を買わないと利用できない。そんな背景もあり、1時間に1〜2本の設定しかない「ひかり」や「さくら」の指定席車にはJRパスを持つ訪日客がたくさん乗っている。
JRパスの価格を、一般の日本人向け「おトクなきっぷ」と比べると、とても割安感がある。たとえば、「北海道フリーパス」は普通車用7日間で2万6230円。「アラウンド九州きっぷ」に至っては普通車3日間で3万0860円とほぼ同条件のJRパスの券面額を上回っている。
だから「ガイジンさんってJRパスが使えていいなあ……」と思う鉄道ファンが国内にいっぱいいることもうなずける。
しかし、その使われ方は問題含みだ。
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