「訪日客が使わなかった席」が大量に出ている路線がある。それが、都心と成田空港を結ぶ全車指定席の特急・成田エクスプレス(NEX)だ。
先に「プロから見て羽田空港には大きな欠点がある」でも記したように、JRパス所持者なら追加料金なしで乗れる楽チンなNEXは人気だ。
ところが、JRパス所持者が成田空港に行くにあたり、何回かに分けて前後の2、3列車の指定席を取り、当日の都合に合わせて乗っている実態もある。だから、かなりの空席が発生してしまう。一般客が「NEXの指定席を取りたい時に取れない」ということが生じるのも当然だ。
全国的に「座席未指定券」の導入を図っては?
そんな中、JR東日本は今年3月14日のダイヤ改正で、NEXに「座席未指定券」という新たな手法を導入した。空席がなくてもその列車に乗らないと飛行機に間に合わない、という利用客を救済するための方策だが、これは「訪日されたお客様がお使いにならなかった席」を埋めるのに有効な手段として評価できそうだ。
現在、新幹線や特急列車の車掌は指定席の埋まり具合を掌握できる端末をたいてい持っている。したがって、全国的に「座席未指定券」を導入することは可能と考えられるが、どうだろうか。
「訪日客をおもてなしし過ぎ」な感も否めないJRパスについては、そろそろ仕組みの見直しに踏み切るべきだろう。自由席専用のパスを作れば、かなりの利用者はそちらになびくと思われる。一方で、「のぞみ」「みずほ」にも乗れるパスを作り、そちらの料金をそれ相応に引き上げるという差別化も有効だ。パス所持者向け座席指定のオンライン化や、「北海道フリーパス」のように指定券の取得枚数の上限を定めるのも、みどりの窓口の混雑軽減に役立つはずだ。
幸か不幸か、今後訪日客は増えることはあっても、減少する見込みは薄い。年間訪日客数の2000万人超は前倒しで達成できそうだが、その頃までにJRパスの仕組みを変えなければ、あちこちで、想像し得ないさまざまな「混乱」が生じるだろう。
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