バイデン「USスチール買収阻止」のデカいリスク 政治的理由での介入で米企業のイメージ悪化も

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昨年12月に発表された150億ドルの買収は、政治的なスペクトルを超えた議員たちからの批判を集めている。バイデンは春に、USスチールはアメリカ資本のままであるべきだと述べたほか、共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ前大統領も売却を阻止すると発言している。

9月2日には、民主党の大統領候補であるカマラ・ハリス副大統領も、この産業の象徴であるUSスチールは、アメリカ資本のままであるべきだと述べている。

大統領選で重要な「ペンシルベニア州」なのがネック

USスチールが大規模な工場を持つ、オハイオ州やペンシルベニア州の上院議員も買収に反対している。議員らはアメリカの重要な鉄鋼メーカーが外国企業に売却されることに疑問を呈し、”外国人オーナー”が雇用と生産を海外に移転させる可能性が高くなると警告している。

全米鉄鋼労働組合(USW)はこの取引に強く反対しており、これはアメリカ大統領選において重要なスイングステートであるペンシルベニア州では極めて重要な問題と見られていた。

『ワシントン・ポスト』紙と『フィナンシャル・タイムズ』紙が、今回の動きを最初に報じた後、USスチールの株価は9月4日に約20%下落した。

USスチールの広報担当者は、同社はCFIUSプロセスに関連する最新情報や行政命令を受け取っておらず、この取引に国家安全保障上の問題はないと考えていると述べた。また、同社は取引の成立を確実にするため、あらゆる法的手段を追求し続ける予定だと付け加えた。

一方、日鉄は声明で、「日本製鉄のUSスチール買収に関して、一部報道がありますが、対米外国投資委員会(CFIUS)からの審査結果は受領しておりません」と表明。「日本製鉄は、関係当局による審査開始以降、本買収が国家安全保障上の懸念がないことを米国政府に対して明確に伝えてきました」と付け加えている。

「日本製鉄によるUSスチールへの投資は、日本製鉄だけが実行可能であり、本投資によって、USスチールと米国鉄鋼業界全体は、より強固な基盤を築くことができます」とも述べている。

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