バイデン「USスチール買収阻止」のデカいリスク 政治的理由での介入で米企業のイメージ悪化も

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この取引に賛成するUSスチールの従業員たちは、4日に本社で集会を開いた。

「今日の集会は、日鉄との取引に対する支持を表明するためのものだ」と、USスチールのデビッド・ブリットCEOは声明の中で説明。「選挙で選ばれた指導者たちやその他の重要な意思決定者たちに、この取引の利点と、取引が失敗した場合に避けられない結果を認識してもらいたい」。

買収が阻止されれば、USスチールとUSWとの長期にわたる争いが終結することになる。USWは、既存の年金協定の状況に懸念を示し、雇用の維持と製造施設への投資を約束した日本製鉄に疑念を表明してきた。

買収がなくなれば本社が移動する可能性も

昨年、USスチールは、オハイオ州の鉄鋼メーカー、クリーブランド・クリフスによる73億ドルの入札を拒否した。同社は4月、日鉄との取引が頓挫した場合、USスチールの買収に引き続き関心があると述べている。

USスチールが約4000人の労働者を雇用しているペンシルベニア州にとって、取引を阻止することが必ずしも利益になるとは限らない。同社は日鉄との取引が成立しなければ、人員削減やピッツバーグからの本社移転を余儀なくされる可能性があると警告している。

合併に反対してきたジョン・フェッターマン上院議員(民主党)は、4日にUSスチールの幹部が、合併が決裂すれば組合の雇用が削減される可能性があると脅したと批判した。

「これまでも言ってきたように、黄金のパラシュートを求める恥知らずな経営陣に対し、私は鉄鋼労働者と共に立ち向かう」とフェターマンは声明で述べている。

バイデン政権がこの取引を阻止した場合、海外からの投資にも広範な影響が及ぶ可能性がある。

国際的なM&Aを専門とする法律専門家は、この取引を阻止する決定はあからさまに政治的に見え、開かれた市場を持つというアメリカの評判を傷つけることになると語る。

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