効果的な腸活には「野菜よりお米」が欠かせない 日本人の遺伝子はご飯を食べるのに適している

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アミラーゼ遺伝子を多く持っているほど、炭水化物を分解しやすくスムーズに利用することができます。このことは日本人が長寿であることの理由の1つとして間違いありません。私たちの祖先は、炭水化物をたっぷり食べていたから、遺伝子さえも進化させて、健康長寿を実現させてきたのです。

炭水化物をたっぷり含む米を栽培できるのは、世界でも一部の限られた地域だけです。そんな日本に住む日本人には、米を中心とした炭水化物をたっぷり食べてほしいのです。

日本人は炭水化物を分解するアミラーゼ遺伝子を多く持っていることに加え、腸内細菌も、炭水化物を分解する菌がほかの国の人々より多いことがわかっています。

安易な炭水化物の制限に伴う「大きな代償」

早稲田大学の服部正平教授らが2016年に科学雑誌『DNA リサーチ』に興味深い研究結果を発表しました。日本人106人の腸内細菌叢を解析し、アメリカやフランス、ロシア、中国など計11カ国の国民の平均的な腸内細菌叢データと比較したところ、日本人は特徴的に「ブラウチア属」が多いことが示されました。

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ブラウチア属の菌の特徴を考え合わせると、日本人の腸内細菌は炭水化物の利用に適している可能性が考えられます。炭水化物に含まれる食物繊維や難消化性でんぷん、難消化性オリゴ糖などをエサにして、私たちのからだにとって有益な「短鎖脂肪酸」を効率的に生み出してくれるのでしょう。

この「短鎖脂肪酸」には、すごいパワーがあることがわかっています。

たとえば、「免疫バリア機能の強化」「血糖値を一定に保つホルモンであるインスリンの分泌促進」「脂肪の蓄積を防いで肥満や生活習慣病を予防する」といった健康効果が期待されるのです。

つまり、炭水化物はからだに悪いと思い込んで制限したりすると、腸内細菌に充分にエサが行き届かず、短鎖脂肪酸を生み出せない環境を作り出してしまうことになるのです。そうすると、先に述べた短鎖脂肪酸の恩恵は受けられなくなってしまいます。

安易なダイエットなどで炭水化物を摂らないことは、こうした代償が伴うことをよく覚えておきましょう。

笠岡 誠一 文教大学健康栄養学部教授

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かさおか せいいち / Seiichi Kasaoka

1967年、広島県生まれ。山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、文教大学専任講師、アメリカ国立衛生研究所客員研究員を経て現職。専門分野は栄養生理学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。テレビや雑誌などメディアでの解説も多い。管理栄養士。食品栄養学修士(東京農業大学)。博士(農学)(愛媛大学)。

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