「人口8%増」豪州の超田舎町を訪ねたら凄かった 「産直」ならぬ「人が産地へ」が地方再生のカギに

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ギップスランドの東の外れにレイクスエントランスという、人口わずか6500人ほどの村がある。まずはそこで、小さなレストランのオーナーシェフをしているマッツさんに話を聞いた。

ギップスランド
卵、アボカド、ソーセージにサワードゥー(パン)。「ザ・定番」に近い食材でギップスランドの素材の良さをアピールするマッツさん(写真:筆者撮影)

まずはガストロノミーについて。世界的な食糧危機や富の集中が叫ばれるなか、ともすれば「金持ちのぜいたく」に聞こえる「グルメ」や「美食」への批判をかわすための、言い訳ではないのか?

「確かに、ガストロノミーという言葉はまだあいまいな部分があります。でも、私は個人的にはガストロノミーは食だけでなく、背景まで味わうものだと思っています」とマッツさんは話す。

景色や空気とともに食を楽しむ

たとえば、途上国や最貧国の人たちから「搾取的な価格で入手した素材」ではなく、「適切な価格を払ったもの」を用いる「フェアトレード」なども食の背景を知る手段の1つ。日本の道の駅などで売られる農作物によく見られる、生産者名と顔写真を記した「生産者開示」もまたしかりだ。

実際、オーストラリアのレストランでは「タスマニア州で捕れたサーモン」とか、「モートン湾産のカキ」とかのように、産地が明記されることも増えている。

だがそれだけでなく、「その場所に出かけていって、景色や空気とともに楽しむ。それがガストロノミーの1つの形だと思います」(マッツさん)。

ギップスランド
マッツさんが作った冷菜。メニューには「ワイルドコーストのハニーグラノラとピクニックポイントのアップルコンポート……」と産地を明記(写真:筆者撮影)
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