ほかにも、カフェの片隅で地元の製品を売るのは、ギップスランドではよく見られる光景だ。
地元の農作物や、それを使った食べものの良さが伝われば、人々はますますここに来てくれる。回りまわってレストランやカフェ、グランピング施設の利用者も増え、地域全体の産業が盛り上がる。
仕事の創造がIターンやUターンを促す
地域の産業が増えれば、人口増という副次的な効果をもたらす。
過疎化の主な原因は仕事の少なさにある。「ガストロノミーツーリズムのおかげで、ギップスランドにおける仕事のバリエーションは増えました」とマッツさん。
以前は農業などの第一次産業が主だったが、マッツさんのようにレストランを営む人や、グランピング施設の運営を始める人も出てきた。
「ほかにも、今までここでは成立しなかった産業が生まれています。たとえばドライバー兼ガイドが、オススメのレストランやワイナリーを巡るツアーや送迎。マーケティングの知識を利用したスモールビジネスへのコンサルティング。これも、ガストロノミーツーリズムという概念が持ち込まれたことにより、実現できたものです」(マッツさん)
スタート地点は日本でもよく見られる「地方の食材を使った町おこし」に近いのかもしれない。
だが、単に農産物などを売るだけでなく、レストランや周辺産業が「協業」することで大きなムーブメントになる。人が人を呼び、仕事が仕事を呼ぶ。それがガストロノミーツーリズムの効果だ。
実際に都会からIターンしてきた人にも話を聞くことができた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら