「人口8%増」豪州の超田舎町を訪ねたら凄かった 「産直」ならぬ「人が産地へ」が地方再生のカギに

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ギップスランド
こちらは別の場所のカフェで展示販売されているもの。「地元のオリーブオイル」「地元のビネガー」などの文字が並ぶ(写真:筆者撮影)

ほかにも、カフェの片隅で地元の製品を売るのは、ギップスランドではよく見られる光景だ。

地元の農作物や、それを使った食べものの良さが伝われば、人々はますますここに来てくれる。回りまわってレストランやカフェ、グランピング施設の利用者も増え、地域全体の産業が盛り上がる。

仕事の創造がIターンやUターンを促す

地域の産業が増えれば、人口増という副次的な効果をもたらす。

過疎化の主な原因は仕事の少なさにある。「ガストロノミーツーリズムのおかげで、ギップスランドにおける仕事のバリエーションは増えました」とマッツさん。

以前は農業などの第一次産業が主だったが、マッツさんのようにレストランを営む人や、グランピング施設の運営を始める人も出てきた。

「ほかにも、今までここでは成立しなかった産業が生まれています。たとえばドライバー兼ガイドが、オススメのレストランやワイナリーを巡るツアーや送迎。マーケティングの知識を利用したスモールビジネスへのコンサルティング。これも、ガストロノミーツーリズムという概念が持ち込まれたことにより、実現できたものです」(マッツさん)

スタート地点は日本でもよく見られる「地方の食材を使った町おこし」に近いのかもしれない。

だが、単に農産物などを売るだけでなく、レストランや周辺産業が「協業」することで大きなムーブメントになる。人が人を呼び、仕事が仕事を呼ぶ。それがガストロノミーツーリズムの効果だ。

実際に都会からIターンしてきた人にも話を聞くことができた。

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