「過去に始まって現在に続いているものについては現在完了進行形を使うんですよ」とタロウさんに説明すると、突如不穏な空気に。短い沈黙の後に「納得できない」とのこと。「だって、今働いているからI am working.でいいんじゃないんですか?」
ここは現在完了進行形を使うべし!
現在進行形は焦点が「今」なので、「3年間」という時間表現と一緒には使えないと言ったのですが、「それはおかしい」とどうしても首を縦に振りません。
ボードに現在進行形と現在完了進行形を図解すると、筆者のマーカーを取ってタロウさんもボードへ。「現在進行形の図を引き延ばしたら現在完了進行形になる!」と言って図を描き直しているではありませんか。
「今という時間枠には、3年間というのが当てはまらない」と言えば、「3分間なら行けるのか?長さの問題か?」とやや口論気味に。「『今している』ということを伝えたいか、今の時点で『どのくらいの期間続いてきたのか』を伝えたいか、で使い分けましょう」と言えば、「両方言いたい!」と言う。何度か説明したのですが、どうしても納得できない様子なのです。最終的にはボードの図も、たくさんの線でグチャグチャに……。
手を変え、品を変え、いろいろと違った切り口で説明してみたのですが、やり取りしているうちに、なぜかどんどんと不機嫌になっていくタロウさん。「理解してもらえない」ということよりも、「怒っている」ということに困惑する筆者。
時計を見ると、自己紹介に割こうと思っていた予定の時間を大幅に過ぎていました。「これこそ現在完了進行形だ!We have been talking about this for 40 minutes!(もう40分もこの話しているよ!)」なんて思いつきましたが、そんなこと言えません。
どうにもらちが明かないので、「It has been three years since I started working here.(ここで働き始めてから3年になります)と言いましょうか」と、今回は現在完了進行形の説明をひとまず諦めることにしました。
すると、現在完了進行形を拒絶し続けていたタロウさん、この文には納得した様子。現在完了形はOKみたいです。何はともあれ、とりあえず無事にレッスンを終えました。思わぬ大波乱で、初回は自己紹介だけで終ってしまいましたが。
「まだ準備期間はある……」
オフィスに戻ってから、テキストの目次を開き、2カ月後にやってくる現在完了進行形のレッスンに大きく赤丸を付けた筆者でした。
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