「メンタルを病む60代」「余裕ある60代」の決定差 人間関係に悩む中高年を救う空海の教えとは
人の好いUさんのことですから、マンションで倒れたお年寄りがいれば、様子を見に行ったり、住民の苦情を受けたりしていました。疲れも溜まっていたのでしょう。めまいを起こすようになり病院へ行くと、メニエール病と診断されました。休養が必要だとのことで、あらゆる役職から下りて休みました。
役職を下りて思ったことは、「自分ががんばらなくても世の中はまわっている」ということです。少し淋しい気持ちもありますが、時間にゆとりができたことで自分自身のために映画を観たり、本を読んだり、若いころの趣味が復活したそうです。
人間関係はほどほどにしないと…
私たちは仕事でも地域でも、人間関係の波にのまれてがんばってしまうことがあります。忙しいことは、自分が役に立つという喜びや充実感もあるので悪いことではないのですが、ほどほどにしないとストレスが溜まります。気がつかないでいると病気になって、体が緊急停止を命じるのです。義理人情に厚い真面目な人がうつ病になることも少なくありません。
義理人情が薄くなった時代とは言われますが、まだまだ義理にとらわれている中高年は多いようです。昔は、バレンタインデーに義理チョコなどというものが盛んにやりとりされていました。
義理チョコをもらうと、義理のお返しをしなくてはいけません。これもなかなかの負担です。最近の若い人は、仲のいい友だちにチョコをあげるそうです。義理的なものが減ってきたのはいいことだと思います。
そのほかにも義理の飲み会などがたくさんありました。「飲み会は業務ではないなら、参加しません」と断る部下がいると驚いていた男性がいましたが、義理の付き合いは最小限にして自分の時間を楽しみたいという考え方を、中高年は少し見習ってもいいかもしれません。
会社や人のために動いていた人が、病気になったり動けなくなったりしたときに、とたんに生きがいがなくなって自己否定感が高まることがあります。義理もほどほどにして、自分の時間を楽しめるようにすることが老後の備えにもなるはずです。
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