「メンタルを病む60代」「余裕ある60代」の決定差 人間関係に悩む中高年を救う空海の教えとは

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こういうとき、Iさんはある人が言った言葉を思い出します。それを語った人が、スポーツ選手だったか、タレントだったかは忘れてしまいましたが、こういうことを言っていたそうです。「相手の気持ちをコントロールすることはできないし、変えることもできない。だから、こんなことは自分の人生には関係ないと思うことにしている」と。

よく、「相手は変えられないから、自分が変わるしかない」という言葉も聞きますね。これも1つの対処法なのですが、苦手な相手のことを自分には関係がないと忘れてしまう方法もあります。私たちは、ともすれば皆から好かれたいと考えてしまいます。でも、人間には相性というものがあります。

相性が合うかどうか、見た目で判断するべきではないのですが、見た目で自分のテリトリーに入れたくないという人もいます。なんだか嫌われているのかなと思っても、その人は私の人生には関係ない、私にはなにも影響しないと思うことで自分を守り、相手を忘れます。

「ママ友に翻弄された」女性が今思うこと

ある女性が話してくれました。娘さんが小学生のときにPTAの付き合いが大変だったそうです。やはりボス的ママさんがいて気を使ったり、いじめがあったりして巻き込まれてしまいました。

しかし、娘が成人した今、「あれはなんだったのか」と思うそうです。今ではそのときのママ友と付き合いはありません。自分の人生に大きく影響する出来事でもなかったのに、渦中にいるときは怒ったり落ち込んだりしていました。「今思えば、コメディですね」と話してくれました。私たちは、いろいろな人間関係に巻き込まれますが、相手を「私の人生には関係ない人」として切り捨て忘れることも必要です。

「南斗は随(したが)い運(めぐ)れども、北極は移らず」(『秘蔵宝鑰』)という空海の言葉があります。北極星は動かない星です。昔の人は北極星を探して自分の位置を確かめました。南斗は北極星より南にある星で、季節とともに動いていきます。人の言葉や感情に巻き込まれないで、北極星のように「ぶれない心」をもって自分の人生を歩んでほしいと思います。

断るのが下手な人がいます。Uさんは、地域の活動をしているうちにだんだんと役職を任せられるようになりました。地域の祭りの事務局責任者やらマンションの管理組合の理事長やらをしています。

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