大荒れのコンテナ船業界、運賃暴落に打つ手なし
日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社がそろって赤字転落した。上期営業赤字は、リーマンショックの余波が残る2009年9月期以来2年ぶり。3社最大の赤字は川崎汽船の183億円。日本郵船、商船三井も100億円前後の大赤字だ。
3社ともコンテナ船、バラ積み船の主力2事業が部門赤字の苦境。ただ、新造船の大量竣工や、ブラジル、豪州の豪雨による鉄鉱石、石炭の運搬需要減退は期初から織り込み済み。バラ積み船の市況運賃低迷は想定内といえる。
最大の誤算はアジア−欧州間の各荷主とのコンテナ船運賃値上げ交渉が3社とも空振りに終わったこと。11年3月期にようやくリーマンショック直前の水準にまで戻した欧州運賃は、今7~9月期に一気に3割近くも下げた。
欧州の運賃交渉は3カ月に1度だが、4~6月期発表時の7月下旬にまだ6月の交渉がまとまっていなかった。ピークシーズンサーチャージ(需要期の上乗せ運賃)にかこつけた8月の仕切り直しに懸けたが、結局、値上げは通らなかった。
EU査察が命取りに
コンテナ船の運賃暴落の背景には、「年率10%の運搬能力の供給増に対し、欧州では同5%しか需要が伸びていない」(商船三井の青砥修吾常務)という急激な需給悪化がある。供給8%増に対し需要7%増。1%の需給ギャップは交渉力で何とかなる。それが期初の読みだったが、需給見通しが大きく外れた。