銀座に来る中国人は、もう富裕層だけじゃない 旅行客の"爆買い"現場を直撃してみた

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浙江省の寧波から来たという女性は、中学校の教師だという。「炊飯器は日本のほうが、質がよくて値段も安い」と説明してくれた。プラダのバッグも買い、一人で6万元(120万円)も使ったという。

一緒にいたファッションデザイナーの女性は、「香港にはしょっちゅう行ってたけど、これからは日本に来る。だって、品物が安いから」と言い切った。そして「中国人はこんなにたくさん買い物しています。みなさんも中国と仲良くしてアジアで団結しましょう」と言い残して去って行った。

道ばたでは、ファンケルの化粧品をたくさん買い込んだ女性も。ツアーのガイドさんで、日本は5回目だという。「友人に頼まれて買い物をしています」と話す。

共働きや副業などで、予想以上に収入が多い

「それにしても、ここまで中国人の購買力が大きいとは」と、徐さんも驚きを隠さなかった。銀座にやってきた中国人観光客は、団体客と個人旅行客に分けられるが、「いずれも想像を超えた大金を費やしている。しかも、中学校の教員や自動車工場の労働者など、庶民も少なくなかった」(徐さん)。ほとんどの人が銀聯カード(デビットカード)で買い物をしている一方、現金はあまり持たずに来ている。

一方、富裕層による“爆買い”も想像を超えた規模になっている。百貨店やヨーロッパのブランド品店でも中国人観光客の姿を数多く見掛けた。百貨店の茶道具の売場では、純金製の急須を買う客の2人に1人が中国人だという。道ばたでバスの出発を待つ中国人に、不動産のセールスマンがしきりに声を掛けていた。

徐向東・中国市場戦略研究所代表も「労働者など庶民が少なくない。予想以上に収入がある」と驚く

中国人観光客へのインタビューをとおして見えてきたこととして、徐さんは次のように解説する。

「“爆買い”の背景としては、円安や免税対象の拡大によって、香港や韓国と比べて日本では電気製品や化粧品の値段が安くなっていること、品ぞろえが中国国内と比べてきわめて豊富で、中国では買えない新製品も多いことが挙げられる。また、中国人家庭では共働きが多く、副業などで予想以上に収入があることや、株価下落の影響があまり見えなかったことも特筆できる」

次回・新宿編では、スマートフォンを用いて買い物情報を本国の友人とやりとりするなど、最先端の動きをリポートする。 

(撮影:尾形文繁)

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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